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2022年8月28日 (日)

先週の読書は小説と新書で計4冊!!!

今週の新刊書読書の感想文は以下の通りです。感想文というよりも、読んだ本のリストに近いです。どうしても、ポパー『開かれた社会とその敵』に読書の中心がありましたので、感想文も軽めに済ませておきます。
なお、今年の新刊書読書は、1~3月期に50冊、4~6月期に56冊、従って、今年前半の1~6月に106冊、そして、7月23冊、8月に入って先週の4冊を含めて22冊、したがって、今年に入ってから147冊となりました。

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まず、羽生飛鳥『揺籃の都』(東京創元社)です。著者は、2018年「屍実盛」で第15回ミステリーズ! 新人賞を受賞してデビューしています。デビュー作と本作品はともに『平家物語』に題材を取った時代推理小説といえます。タイトルの都とは平清盛が無理やりに遷都した先の福原です。よからぬ風聞を流す青侍の捜索、清盛の部屋から消えた厳島神社の小長刀、厩舎の魔除けのサルの死、といった謎を清盛の異母弟であり、源氏と通じていた平頼盛が解き明かします。

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次に、山本康正 & ジェリー・チー『お金の未来』(講談社現代新書)です。著者は、よく判らないんですが、2人ともDXとかデジタル技術に関するコンサルなんだろうと思います。ということで、従来は法貨に限られていたマネー=お金について、暗号資産とかデジタルマネーについての解説書です。著者の1人が聞き役で、もうひとりが回答するという対話形式で展開されます。現在のデジタル技術とマネーの関係は、あくまで現時点であって、その後の進行方向も進行速度も予測がそれほど簡単ではなく、また、確実に年々情報が古くなるのですが、それでも、こういった入門書や解説書で追いかけるしかありません。来年には確実に情報が古くなっている可能性は指摘しておきたいと思います。

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次に、吉川肇子『リスクを考える』(ちくま新書)です。著者は、慶應義塾大学の研究者です。専門は組織進路学とか、社会心理学のマクロの心理学です。本書では、リスクについて、顕在化した際のハザード=ダメージと顕在化する確率の積で定義していて、リスクを評価するとか、評価する際のバイアスとかよりも、むしろ、リスク・コミュニケーションの方に重点を置いています。リスク・コミュニケーションとは、リスクをきちんと伝え、話し合い、共有すること、とインタラクティブな関係で捉えています。専門家や行政からの一方的な発信でなく、情報公開と透明性に基づく開かれた議論によって、初めてリスクは的確に理解され、よりよい社会が可能になる、と指摘しています。

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最後に、倉知淳『ドッペルゲンガーの銃』(文春文庫)です。著者は、私とほぼ同年代のベテランのミステリ作家です。「文豪の蔵」、表題作の「ドッペルゲンガーの銃」、「翼の生えた殺意」の3編からなる短編ミステリ集です。「文豪の蔵」と「翼の生えた殺意」は密室殺人事件、「ドッペルゲンガーの銃」はアリバイ・トリックに分類されると思います。この作者は、何となく、ユーモア・ミステリの印象があるのですが、この短編作品はいずれもガチガチの本格ミステリです。何と申しましょうかで、短編なのですが、3作品とも殺人事件です。キチンと論理的に解決されます。

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