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2022年9月29日 (木)

食品値上げで家計負担はどれくらい増えるのか?

やや旧聞に属する話題なのですが、ちょうど1週間前の9月22日に帝国データバンクから「『食品主要105社』価格改定動向調査」の結果が明らかにされ、その中で、食品値上げに伴う家計負担額の推計がなされています。家計負担は平均で年額7万円、当然ながら、低収入世帯での負担感が高いと結論されています。pdfの全文リポートから図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、リポートから 食品値上げ 家計負担額推計 を引用しています。今秋の値上げ率は月平均で18%に達すると帝国データバンクでは推計していて、上のグラフを見れば明らかな通り、平均的な家計で、加工食品で2,560円、酒類・飲料で1,285円をはじめとして、月額で5,730円、年額では68,760円の負担増加になると試算しています。総務省統計局による家計調査では年間消費支出額が約333万円ですので、2%ほどの支出増になる計算です。

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次に、上のテーブルは、リポートから 収入階層別 食品値上げによる影響 を引用しています。これも見れば明らかな通り、低所得家計よりも高所得家計の方が負担額は大きい一方で、消費支出額に占める負担割合は低所得家計の方が高い、という結果となっています。すなわち、逆進的な効果があります。いわゆるエンゲル係数というのがあって、所得が低いほど食品に対する支出がすべての消費支出に占める割合は大きい、という経験則です。この点からして、当然と言えば当然の結果が示されています。

最後に、リポートでは「政府による物価高対策の恩恵を実感するには、しばらくの時間が必要」と、特に根拠なく結論しています。しかし、私は、繰り返し主張してきた通り、市場メカニズムに介入して供給企業に補助金を出して価格を抑制するのではなく、家計に対して所得に応じた必要な支援を行うべきだと考えています。この試算結果からも明らかな通り、企業に補助金を出して価格を抑制するのは高所得世帯に有利なだけで、むしろ、必要なのは低所得世帯への支援であるのは明らかです。

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