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2022年9月10日 (土)

先週と今週の読書はいろいろ読んで計10冊!!!

先週と今週の2週間分の読書感想文は以下の通り計10冊です。
新刊書のほか、羽生飛鳥『蝶として死す』(東京創元社)と深木章子『極上の罠をあなたに』(KADOKAWA)も新幹線の車中で読んでいたりしますので、まあ、通常通りに週5-6冊、といったペースのような気がします。この2週間では、新書が多かった気がします。
なお、今年の新刊書読書は、1~3月期に50冊、4~6月期に56冊、従って、今年前半の1~6月に106冊、そして、7月23冊、8月に22冊、先週と今週の9月で10冊、従って、今年に入ってから161冊となりました。

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まず、長岡貞男『発明の経済学』(日本評論社)です。著者は、東京経済大学の研究者です。タイトル通りの内容であり、日米及び日米欧の独自データを基にした実証分析がなされています。いわゆる発明ですから、基礎研究よりは商品開発、ないし、本書でいうところの商業化に近い段階のイノベーションを対象としています。おそらく、本書でいうところの「サイエンス」となる基礎研究は公共財に近くて経済学の分析対象としては困難が伴うような気がします。本書で転回される発明については、私はKremerのO-ring理論くらいしか馴染みがなく、このように実証されるのかと勉強になりました。最終章のノードハウス教授の特許に関するトレードオフについては、やや疑問があります。というのは、このトレードオフとは、ライセンサーからライセンシーへの特許使用料が高ければ新たなイノベーションに対するインセンティブが高くなる一方で、特許の使用が限定的となり、逆は逆、というものです。マクロ経済学の失業率と賃金上昇率の間にあるフィリップス曲線のように経験的なトレードオフではなく、理論的には明らかにトレードオフがあるにもかかわらず、実証的に必ずしも必然ではない、というのは、それに続くもうひとつの結論、発明の貢献に合わせた権利画定によりトレードオフを小さくする、というのと、矛盾を来たしているような気がしないでもありません。最後に、繰り返しになりますが、基礎研究の公共財としての役目の研究にも注目したいと思います。

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次に、伊坂幸太郎『マイクロスパイ・アンサンブル』(幻冬舎)です。著者は、日本でも有数の売れっ子のミステリ作家です。本書は、猪苗代湖で2015年から開催されている音楽フェス「オハラ✩ブレイク」のために、著者が毎年書き続けた短編「猪苗代湖の話」を基に編まれています。このフェス会場でしか手に入らなかった7年分の連作短編が書籍化されたわけです。ですから、各章は1年目から7年目と構成されていて、おまけで7年目から半年後があったりします。表題に関連して、エージェント・ハルトなどの登場人物もいて、スパイ気分が盛り上がるのですが、特に、私が印象的だった登場人物は、いつも謝ってばかりの門倉課長です。実際の社会、というか、組織の一員としての会社員として、スムーズにコトを運ぶのに重要なポイントがいくつか含まれているような気がします。

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次に、池田清彦『SDGsの大嘘』(宝島社新書)です。著者は、生物学の研究者であり、山梨大学や早稲田大学の研究者でした。本書では、誰も反対の出来ないSDGsについて逆から見た見解を展開していて、大きな疑問を呈しています。基本的には、私もSDGs推進派なのだろうと思いますし、SDGsの一部ながら地球環境や気候変動についてもそれなりの関心を持っていますので、こういった逆からの見方についても、十分な見識や常識を持って接しておきたいと従来から考えています。上の表紙画像にもあるように、本書では、脱炭素は欧州発の「ペテン」であり、環境ビジネスで利益を得ているグループについて、著者なりの見解を示しています。繰り返しになりますが、SDGsに限らず、正面切って反対できない世間一般の動向についても、盲目的に従うばかりではなく、それなりの批判的な見解に接しておくことは重要だと私は考えています。

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次に、坂本貴志『ほんとうの定年後』(講談社現代新書)です。著者は、リクルートワークス研究所の研究者であり、本書は定年後の生活、というか、雇用や労働の観点から定年後を分析しています。本日の朝日新聞に大きな宣伝が掲載されていました。統計的なマクロの分析とともに、マイクロな個別のケーススタディも豊富に収録されています。上の表紙画像にも見られる通り、定年前の「大きな仕事」ではなく、定年後は「小さな仕事」で低収入で十分OK、という考えが明らかにされています。私も十分に60歳オーバーですから、求人情報を見たりすると、定年後の求人はデスクワークではなく現場仕事となり、介護、警備、清掃といった職種が大きな比率を占めます。しかも低賃金です。しかし、60歳の定年と65歳の年金支給開始にややズレはあるものの、年収は300万円くらいで生活でき、年金を別にした収入は年100万円で十分、という主張にはそれなりに説得力があります。ですから、それくらいであれば、世間的に大きな貢献が求められる大プロジェクトに携わるのではなく、もっと限定的な「小さな仕事」で生活には十分であり、同時に、体力的なものも含めて、年齢的に何かしら衰えるわけですから、そういった「小さな仕事」でOKという考えも理解できます。私も役所を定年になり、さ来年には今の大学も定年になりますから、こういった定年後の仕事に関して理解が深まりつつあるような気がします。なお、本書は著者からご寄贈いただきました。感謝申し上げます。

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次に、勢古浩爾『定年後に見たい映画130本』(平凡社新書)です。著者は、私はよく知らないのですが、「洋書輸入会社に34年間勤務」と紹介されています。タイトル通りに、定年後に見たい映画のオススメ130本といくつかのオマケを収録しています。自由な時間が比較的多く取れる定年後の趣味には、手っ取り早く気軽に楽しめて、それなりの時間つぶしもできる映画とか、読書はオススメであると私も思います。ということで、面白く見られる作品から、いわゆる名画のたぐいまで、幅広く収録しています。ただ、こういった趣味の分野ですので、あくまで個人差はあることは承知の上で読み進む必要があると思います。邦画の収録がやや少ないという印象を持つ読者はかなりいそうな気がします。加えて、DVDで借りるという映画の見方になると思いますので、アベイラビリティにも注意する必要があります。

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次に、福田充『リスクコミュニケーション』(平凡社新書)です。著者は、日本大学の研究者です。少し前に、吉川肇子『リスクを考える』(ちくま新書)を読んで、このブログでも取り上げましたが、『リスクを考える』が心理学的なコミュニケーションであったのに対して、本書は危機管理上の手段として取り組んでいます。本書では、日本の危機管理の一環としてのリスクコミュニケーションは自然災害に由来する分野に偏りがあると指摘し、例えば、北朝鮮のミサイル発射とか、政治的あるいは地政学的なリスクに対応する必要性を強調しています。そして、これは多くの人が合意する点だと思いますが、リスクをゼロにすることを目指すのではなく、リスクが顕在化する確率を低下させ、同時に、顕在化した場合のダメージを小さくするリスク・マネージメントの必要を強調しています。巻末には対談を収録し、感染症パンデミック、自然災害、メディアに関してリスク・コミュニケーションのあり方を展開しています。

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次に、飯塚友道『認知症パンデミック』(ちくま新書)です。著者は、お医者さんであり、認知症や脳神経内科の専門医です。本書のタイトルは少し驚かされますが、著者の認識としては、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミックによる「ステイホーム」によって認知症がパンデミックを引き起こしている、ということです。もちろん、行政からの行動制限だけではなく、高齢者による自発的な、というか、著者によれば過剰な反応による「自発的ロックダウン」もあって、認知症の発症を引き起こしている、という主張です。そうかもしれません。それに対して、生活習慣の改善、すなわち、いわゆる有酸素運動的な軽い運動と社会的な刺激を受ける環境整備を強調しています。後半は医学的な認知症や脳のメカニズムの解説で、私のような専門外に人間には少し難しいのですが、認知症に関する理解は深まったような気がします。

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次に、岩波明『増補改訂版 誤解だらけの発達障害』(宝島社新書)です。著者は、発達障害専門外来を担当する昭和大学医学部の医師・研究者です。2019年尼出版された「増補改訂」前のバージョンから「増補改訂」されています。まあ、当たり前です。発達障害に関しては、私もシロートですので、本書で指摘するように「空気の読めない変わった人」と受け止めたり、あるいは、アスペルガー症候群、特に、サヴァン症候群のように、なにか傑出した能力がある可能性を考えたりと、ややバイアスのかかった見方を従来はしていたのかもしれないと反省し、どこまで理解が進むかは判らないものの、少し夏休みに勉強してみました。発達障害については、後天的に発症するのではなく、生まれつきのものであるとの理解以外は私は持ち合わせていませんでしたが、症状や診断基準などについて勉強になりました。本書でも紹介されている映画「レインマン」は私も見た記憶があり、ダスティン・ホフマンの役の自閉症と発達障害は別ものと思っていましたが、誤解は解消されつつあります。NHKドラマの「アストリッドとラファエル」の主人公の1人であるアストリッドが自閉スペトラム症(ASD)という設定なのですが、このドラマについても理解が深まった気がします。

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次に、ドナルド E. ウェストレイク『ギャンブラーが多すぎる』(新潮文庫)です。著者は、多作なことでも知られる米国のミステリ作家です。本書の英語の原題は、上の表紙画像にも見えるように、Somebody Owes Me Money であり、1970年ころの出版ではないかと思います。ということで、1960年代のニューヨークを舞台に、とても雰囲気のあるミステリです。タクシー運転手チェットは大のギャンブル好きで、客から入手した競馬の裏情報が的中します。その配当金を受け取りにノミ屋のトミーを訪ねるのですが、トミーは射殺されていて、第1発見者のチェットが警察から容疑者にされ、さらに、相対立する2つのギャング組織から追われることになります。その中で、チェットはトミーの妹と組んで真犯人を探すことになします。小説冒頭は競馬から始まりますが、ギャンブルについてはポーカーが中心に展開されます。こういった賭場を開いているのがギャング組織なわけです。二転三転する推理、手に汗握るサスペンスフルな脱出劇、男女間の時ならぬロマンス、その挙げ句の半身に関する謎解き、いろいろと楽しめるミステリです。

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最後に、桜井美奈『殺した夫が帰ってきました』(小学館文庫)です。著者は、小説家、ミステリ作家なんですが、私はよく知りません。本書の主人公である茉菜は都内のアパレル企業に勤務していて、取引先の中年男性から言い寄られ、帰宅した際にアパートに入ろうとされますが、茉菜の夫を名乗る男性に助けられます。しかし、この夫を茉菜は事故に見せかけて数年前に殺害したハズなので、極めて不審なスタートです。これがそのままタイトルにされているわけです。もちろん、殺したハズの夫について、妻であった茉菜が必ずしも的確に識別できなかったわけですから、妻であった主人公の茉菜の方にも読者は何らかの不信を感じざるをえないわけで、結局は、こういった謎が解明されるのですが、それほど奇抜なトリックではなく、ひとつひとつ順を追って明らかにされていくタイプのミステリです。

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