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2022年9月 7日 (水)

ようやく100を超えた7月の景気動向指数CI一致指数をどう見るか?

本日、内閣府から7月の景気動向指数公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数が前月から▲0.7ポイント下降の99.6を示した一方で、CI一致指数は+1.4ポイント上昇の100.6を記録しています。まず、やや長くなりますが、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

7月景気動向指数、2カ月連続上昇 消費増税前の水準回復
内閣府が7日発表した7月の景気動向指数(CI、2015年=100)の速報値は、足元の経済動向を示す一致指数が前月比1.4ポイント高い100.6だった。改善は2カ月連続。19年9月以来、2年10カ月ぶりの水準となり、消費増税前の水準を回復した。中国・上海市の都市封鎖(ロックダウン)が6月に解除され、自動車関連などで回復が続いた。
内閣府は指数をもとに機械的に作成する景気の基調判断を「改善を示している」のまま据え置いた。
一致指数を構成する10項目のうち集計済みの8項目をみると7項目が上昇、1項目が下落要因となった。自動車を含む耐久消費財や、ボイラー、ショベルなど生産用機械を含む投資財の出荷がプラスに寄与した。電気機械が落ち込んだ卸売業の販売はマイナスに響いた。
2~3カ月後の景気を示す先行指数は前月比0.7ポイント低い99.6だった。悪化は3カ月連続となる。新型コロナウイルスの感染拡大や、原材料価格の高騰が下振れリスクになる可能性がある。

コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

photo

ということで、7月統計のCI一致指数については、まったく象徴的な意味合いしかありませんが、2019年9月統計以来の100超えとなっています。もっとも、景気の山だった2018年10月統計は105.3ですから、まだまだこの水準には達しません。景気動向指数CI一致指数は景気のボリューム感も表現しているハズですので、こういった比較は十分意味があります。ただ、100を超えるかどうかとういう絶対水準で評価するの意味は特にありません。基準年との比較だけのお話です。
CI一致指数を構成する系列を詳しく見ると、プラスの寄与が大きい順に、耐久消費財出荷指数+0.61ポイント、投資財出荷指数(除輸送機械)+0.45ポイント、有効求人倍率(除学卒)+0.31ポイント、などとなっています。他方、マイナス寄与は商業販売額(卸売業)(前年同月比)▲0.24ポイントと労働投入量指数(調査産業計)▲0.00ポイントだけとなっています。CI一致指数の3か月後方移動平均、7か月後方移動平均はともにプラスであり、引用した記事にもある通り、基調判断は「改善」で据え置かれています。
景気の先行きについては、国内のインフレや円安の景気への影響については楽観的に私は見ています。例えば、CI先行指数が前月から▲0.7ポイント下降しているのは、消費者態度指数の寄与度▲0.74ポイントが大きいのですが、国内要因としてはハードデータからは大きな懸念材料は少ないと私は感じています。もっとも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大は何とも見通せませんし、円安も1ドル140円を突破してどこまで進むのかは不透明です。加えて、海外要因についても、ウクライナ危機は長引きそうだと報じられていますし、欧米をはじめとする各国ではインフレ対応のために金融政策が引締めに転じていて、米国をはじめとして先進国では景気後退に向かっている可能性が十分あります。ですから、全体としては、リスクは下方に厚い可能性を否定するのは難しい気がします。

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