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2022年9月12日 (月)

「国民生活基礎調査」にアベノミクスの効果は見られるか?

先週金曜日の9月9日に厚生労働省から「国民生活基礎調査」(2021年調査)の概況が公表されています。所得に関する部分だけ、プレスリリースのグラフを引用しつつ。簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、プレスリリースから、図8 各種世帯の1世帯当たり平均所得金額の年次推移 を引用すると上の通りです。折れ線は上から順に、児童のいる世帯、高齢者世帯以外の世帯、全世帯、高齢者世帯、となっています。全世帯平均所得はバブル崩壊後の1994年に664.2万円でピークをつけてから低下を続け、約25年後の2020年には564.3万円まで、ほぼほぼ▲100万円減少しています。しかし、他方で、アベノミクスの始まった2013年528.9万円をボトムにして、2014年541.9万円、2015年545.4万円、2016年560.2万円、2017年551.6、2018年552.3万円、(2020年調査が中止されたため2019年所得は不明)、2020年564.3万円と、極めて緩やかなペースながらジワジワと上昇しているのも事実です。アベノミクスの成果のひとつはこういった雇用や所得の改善であり、いまだに特に若い世代から支持が強い点は見逃すべきではありません。

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次に、プレスリリースから、図9 所得金額階級別世帯数の相対度数分布 を引用すると上の通りです。このグラフにアベノミクスの弱点、すなわち、分配政策の欠如が見て取れます。平均所得は564.3万円である一方で、中央値は440万円にしか過ぎず、平均所得以下の割合は61.5%に達しています。しかも、100万円刻みの階級で見ると最頻値は300~400万円階級の13.4%であり、100~200万円階級と200~300万円階級もそれぞれ13%を超えていて、世帯当たり所得としては、さすがに200万年を下回ると生活が苦しい印象を受けます。従って、生活意識としては、大変苦しい23.3%、やや苦しい29.8%、普通41.8%、ややゆとりがある4.8%、大変ゆとりがある0.7%と、大きく「苦しい」の方に偏っています。

現在の岸田内閣は、当面の物価高に対して、住民税非課税世帯に対する5万円の給付とともに、まだ、マイクロに個別品目、ガソリンなどの価格を下げるために石油元売りなんかに対して補助金を継続する政策を取ろうとしているように報じられています。そろそろ、前者の分配政策に大きく舵を切るタイミングだと私は考えています。加えて、化石燃料に対する補助金は気候変動=地球温暖化を防止する努力をムダにしかねないリスクを持っている点は、十分考慮されるべきです。

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