企業物価指数(PPI)の上昇を見るにつけインフレ対策としての消費税率引下げを検討すべき!!!
本日、日銀から9月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+8.6%まで上昇幅が拡大しました。まず、日経新聞のサイトから統計を報じる記事を引用すると以下の通りです。
企業物価指数9.7%上昇 9月、民間予想を大きく上回る
日銀が13日発表した9月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は116.3と、前年同月比9.7%上昇した。前年の水準を上回るのは19カ月連続で、民間予想を大きく上回った。ロシアのウクライナ侵攻を受け、電力やガスなどの資源価格が高騰している。円安も物価高に拍車をかけ、石油危機の影響が残っていた1980年以来となる高い伸びが続く。
企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。9月の指数は調査を開始した1960年以降で最も高かった。
上昇率は民間予測の中央値である8.8%を0.9ポイントと大きく上回った。8月の上昇率は9月発表時点の9.0%から9.4%に上方修正された。
品目別にみると、電力・都市ガス・水道(38.8%)、鉱産物(26.2%)、鉄鋼(26.1%)など資源価格の上昇が目立つ。飲食料品(6.4%)など消費者に近い商品も高止まりが続いている。
円安の影響も続く。9月の外為市場では円相場が一時1ドル=145円台後半まで下落した。円ベースの輸入物価の上昇率は48.0%と、ドルなど契約通貨ベースの21.0%を大幅に上回った。円ベースの輸出物価の上昇率は20.1%、契約通貨ベースでは2.9%だった。
いつもの通り、包括的に取りまとめられています。続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率をプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内企業物価の前年同月比上昇率は+8.8%と見込まれていましたので、実績の+9.7%は大きく上振れし、予想レンジの上限である+9.1%も上回りました。何度も繰り返していますが、PPI上昇の要因は主として2点あり、とりあえずの現象面では、コストプッシュが大きな要因となっています。すなわち、第1に、国際商品市況の石油価格をはじめとする資源価格の上昇、さらに、第2に、ディマンドプルの要因も含みつつ、為替レートが減価している円安要因です。また、少し前までの我が国製造業のサプライチェーンにおける半導体などの供給制約については、私も詳しくないのですが、報道ではそれほど見かけなくなりましたので、後景に退いている気がします。品目別には、引用した記事の4パラめにあるように、鉄鋼+26.1%、石油・石炭製品+14.7%、金属製品+12.3%、非鉄金属+11.8%、化学製品+10.4%が2ケタ上昇となっています。消費者の国民生活に強く関連する飲食料品+6.4%も高止まりしています。
そして、こういった物価高に対する経済対策として、政府では電力料金の激変緩和のために電力会社に巨額の補助金を出すことを検討していると、朝日新聞や日経新聞などで報じられています。ただし、まったく同じ趣旨で石油元売り各社に投じられた「燃料油価格激変緩和強化対策事業費補助金」などについて、今年2022年10月の財務省による「予算執行調査」によれば、3~7月分の推計で補助総額の2%に当たる110億円分が価格に反映されておらず、その差額は販売店の経営改善に使われていたのではないか、と指摘されています。
電力会社への補助金でも同様に価格へ反映されない部分が生じる可能性が充分あると考えるエコノミストは私だけではないと思います。そもそも、こういった大企業への補助金は市場における価格メカニズムに歪みを生じて、化石燃料価格の上昇による地球温暖化=気候変動の緩和効果を大きく減殺します。SDGsに反した政策であると考えるべきです。ですから、消費者や中小企業への所得支援が代替策として考えられるのですが、ここはもっとシンプルに、時限措置でもOKかと思いますので、インフレ対策としての消費税率の引下げが検討されて然るべき、と私は考えています。
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