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2022年11月14日 (月)

帝国データバンク「コスト高騰による企業への影響アンケート」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、先週木曜日の11月10日に帝国データバンクから「コスト高騰による企業への影響アンケート」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を3点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. さまざまなコストの高騰による主要な事業への影響について、「影響はあるが、現時点では余裕がある」とした企業は33.4%だった一方、半数超が「厳しいが事業の継続は可能」(54.3%)としていた。さらに、「すでに限界」とした企業は6.5%となり、うち2.5%が「企業の存続危機」に陥っていることが分かった
  2. 「すでに限界」とした企業の割合を規模別にみると、「大企業」では2.1%、「中小企業」では7.2%、うち「小規模企業」では11.4%と、企業規模が小さいほど高くなっている。内訳をみると、「小規模企業」で「すでに限界であり、企業の存続危機に陥っている」とした企業は約5%に及んだ
  3. 「すでに限界」と回答した企業を主な業種別にみると、「建材・家具、窯業・土石製品製造」が12.5%と全体を6.0ポイント上回った。また、「化学品製造」が12.2%、「不動産」および「飲食料品・飼料製造」がそれぞれ9.4%となった

これだけでもう十分という気もしますが、リポートからグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから コスト高騰の影響 の影響を引用しています。さまざまなコストの高騰を受け、主要な事業についてどのような状況か問うた結果として、「すでに限界」と回答した企業は6.5%に上っています。グラフに見えるように、「別の仕入先を検討中」が2.5%、「主力部門以外の強化・主力部門の縮小/撤退、または業態転換を検討中」が1.5%、「企業の存続危機」は2.5%となっています。ただし、多数派は、「厳しいが事業の継続は可能」であり54.3%と過半を占めています。また、「影響はあるが、現時点では余裕がある」とした企業は約⅓の33.4%となっています。「すでに限界」の6.5%は無視し得ない数字ではありますが、評価の難しいところです。

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続いて、上のグラフはリポートから コスト高騰で「すでに限界」企業割合 を引用しています。評価は難しいながら、「すでに限界」と回答した6.5%の企業の規模は、当然ながら、規模が小さいほどコスト高騰の影響が厳しい、という結果が示されています。すなわち、「すでに限界」計が高い割合を示しているとともに、「企業の存続危機」も高い比率となっています。また、グラフはありませんが、「すでに限界」とした主な業種別については、「建材・家具、窯業・土石製品製造」が12.5%と業界横断的な平均である6.5%を6.0%ポイント上回っています。また、「化学品製造」は12.2%、「不動産」および「飲食料品・飼料製造」はいずれも9.4%と高い比率を示しています。こういった業種でコスト高騰の影響が大きいことがうかがえます。

私はコスト高騰の影響で、企業存続の危機に瀕しているのであれば、コストアップを正当に価格転嫁することが必要だと考えています。コストアップを価格転嫁し、同時に、賃金も引き上げる、というのが望ましい解決です。しかし、先月10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」には、「価格転嫁」は現れません。むしろ、物価を抑制するために価格転嫁が進まない方がいいのかもしれないと考えているのか、と勘ぐってしまいます。もしそうならば、価格転嫁を進めたくないのであれば、コストアップの方を抑制するしかありません。その場合は、消費税率引下げが政策オプションになると私は考えます。

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