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2022年11月 8日 (火)

4か月ぶりに下降を示した9月の景気動向指数をどう見るか?

本日、内閣府から9月の景気動向指数公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数が前月から▲3.9ポイント下降の97.4を示し、CI一致指数も▲0.7ポイント下降の101.1を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

9月の景気動向指数、4カ月ぶり低下 自動車関連悪化で
内閣府が8日発表した9月の景気動向指数(CI、2015年=100)の速報値は、足元の経済動向を示す一致指数が前月比0.7ポイント低い101.1だった。4カ月ぶりのマイナスとなった。中国・上海市の都市封鎖(ロックダウン)が6月に解除されて以降、部品不足の解消で回復が続いており、反動が出た。自動車関連の項目で悪化した。
内閣府は指数をもとに機械的に作成する景気の基調判断を「改善を示している」のまま据え置いた。8カ月連続で同じ判断とした。
一致指数を構成する10項目のうち集計済みの8項目をみると、5項目が下落、3項目が上昇要因となった。自動車部品などで、生産と出荷ともにマイナスに寄与した。卸売業の販売額も低下した。
2~3カ月後の景気を示す先行指数は3.9ポイント低い97.4だった。悪化は2カ月ぶり。円安や原材料価格の高騰で物価上昇が続いており、景気の先行きに下振れリスクとなる可能性がある。

いつもながら、コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

photo

ということで、9月統計のCI一致指数については、4か月ぶりの下降ながら、3か月後方移動平均も7か月後方移動平均も、ともに、上昇を続けています。したがって、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「改善」で据え置いています。また、ということで、CI一致指数を構成する系列を詳しく見ると、マイナスの寄与が大きい順に、投資財出荷指数(除輸送機械)▲0.44ポイント、生産指数(鉱工業)▲0.26ポイント、鉱工業用生産財出荷指数▲0.19、商業販売額(卸売業)(前年同月比)▲0.15ポイントなどとなっています。他方、プラス寄与は、大きなものでは有効求人倍率(除学卒)+0.31ポイントくらいです。
景気の先行きについては、国内のインフレや円安の景気への影響については楽観的に私は見ていますが、CI先行指数はやや大きな下降を示しているのは気がかりです。加えて、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大は反転増加した可能性が指摘され、第8波に入っているかもしれません。海外要因についても、欧米をはじめとする各国ではインフレ対応のために金融政策が引締めに転じていて、米国をはじめとして先進国では景気後退に向かっている可能性が十分あります。ですから、全体としては、先行きリスクは下方に厚い可能性を否定するのは難しい気がします。

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