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2022年11月22日 (火)

東京商工リサーチ「想定為替レート」調査の結果やいかに?

一時は1ドル150円を超えるような水準まで進んだ円安が、ようやく11月に入って一段落していますが、東京商工リサーチから2023年3月期下半期の「想定為替レート」調査の結果が明らかにされています。調査対象は上場メーカーですので、輸出や工場などの海外進出をしている企業が多いと考えられます。図表を引用しつつ、簡単に調査結果を見ておきたいと思います。

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まず、東京商工リサーチのサイトから 対ドル想定為替レートの推移 のグラフを引用すると上の通りです。東京商工リサーチが調査を開始したのは2011年3月期なのですが、昨年2021年までの10年間では以降では、2016年3月期初の想定レート1ドル115.8円がもっとも円安な水準でした。しかし、今年に入って、2023年3月期の期初には1ドル119.1円と、この最安値を上回る円安水準の結果となり、さらに、今回調査による2022年3月期下半期には平均1ドル135.3円で、2023年3月期の期初からさらに+16.2円の円安設定だった、との結果が示されています。

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次に、東京商工リサーチのサイトから 対ドル想定為替レート分布 のグラフを引用すると上の通りです。2022年3月期下半期の想定レートは、1ドル135円が28社(26.4%)ともっとも多く、次いで、1ドル140円が27社(25.4%)、1ドル130円が13社(12.2%)となっています。レンジ別では、1ドル130円台が最も多く58社(54.7%)、140円台以上が38社(35.8%)、同120円台以下が10社(9.4%)との結果です。

ものすごく単純化していえば、製造業=メーカーは輸出や海外工場の売上は円安が進めば収益を拡大させる効果を持ちます。もちろん、原材料や燃料の輸入価格は円安により上昇しますが、それ以上に円安メリットが大きいと考えるべきです。ですから、保守的な為替レート想定を前提にすれば、実勢レートよりもやや円高の水準で想定するケースが少なくありません。他方で、非製造業では製造業と違って、原材料や燃料の輸入コストの上昇の方が大きく、円安は収益圧迫要因となります。ですから、実勢レートよりも円安の想定を持って事業計画を立てるケースがよく見られます。本日取り上げた東京商工リサーチの調査結果は、メーカー=製造業だけを調査対象としていますので、ひょっとしたら、円高バイアスがある可能性があります。でも、いずれにせよ、最近にない円安の想定であることは確かだろうと思います。

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