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2022年12月13日 (火)

明日公表予定の12月調査日銀短観予想やいかに?

明日12月14日の公表を控えて、シンクタンクから12月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業/非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画は今年度2022年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、可能な範囲で、先行き経済動向に注目しました。短観では先行きの業況判断なども調査していますが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックやウクライナ危機といった経済外要因の動向次第という面があり、シンクタンクにより大きく見方が異なることになってしまいました。それでも、景況感が低下するのは明らかだという予想です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
9月調査 (最近)+8
+14
<+16.4%>
n.a.
日本総研+6
+17
<+15.3%>
先行き(2023年3月調査)は、全規模・全産業で12月調査対比▲1%ポイントの小幅な悪化を予想。製造業では、既往の資源高や円安によるコスト増、海外経済の減速による需要の減少などを背景に収益悪化の懸念が重石に。非製造業では、外食や旅行などのリバウンド需要や外国人観光客の増加を背景に、サービス業を中心に景況感は改善する見通し。
大和総研+7
+20
<+16.8%>
大企業製造業では、供給制約の更なる緩和による生産拡大を見込む「自動車」の業況判断DI(先行き)が上昇するとみている。大企業非製造業については、観光需要喚起策によって旅行需要の回復が引き続き後押しされることや、水際対策の大幅緩和によるインバウンドの急回復への期待感から、「対個人サービス」、「宿泊・飲食サービス」、「小売」といった業種で業況判断DI(先行き)が上昇すると予想する。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+6
+17
<+16.5%>
製造業・業況判断DIの先行きは、3ポイントの悪化を予測する。2023年からは、金融引き締めに伴う海外経済の悪化が本格化し、輸出の下押し圧力が高まると見込まれる。
欧米経済は、インフレ率の上昇と急速な金融引き締めにより、景気の下振れ懸念が高まっている。米国では、2023年入り後に利上げの影響が経済全体に波及し、景気の落ち込みが鮮明になると見ている。住宅投資・設備投資の更なる下振れに加えて、個人消費も年央にかけて減少する見込みである。ユーロ圏は、天然ガスの需給ひっ迫に伴うガス価格高止まりを受けて、暖房費がかさむ来年の1~3月期まで個人消費が下押しされるだろう。中国では足元でゼロコロナ政策が緩和されつつあるが、不動産市況の低迷などから、景気には当面停滞感が残るとみられる。全体として海外経済の見通しは厳しさを増しており、輸出企業を中心に業況改善への期待はやや低下している可能性が高い。
非製造業・業況判断DIの先行きは横ばいを予想する。11月以降、新規感染者数が増加傾向にあることを受けて、サービス消費の下振れ懸念が業況の改善を阻害すると考えられる。ただし、ワクチン接種の広がりや自然免疫の獲得を背景に、感染第7波ほどの経済活動の下押し要因にはならないとみている。また、政府は全国旅行支援を年明け以降も継続する方針であり、サービス消費を下支えすると見込まれる。インバウンドについても、10月の訪日外客数は2019年同月比約20%と回復の余地はまだ大きい。
ニッセイ基礎研+6
+17
<+16.2%>
先行きの景況感は総じて悪化し、先行きへの警戒感が示されると予想。製造業では世界経済の減速に対する懸念が景況感を圧迫しそうだ。また、非製造業ではコロナ再拡大による人出の減少や物価上昇に伴う国内消費の減退に対する警戒感が重荷となるだろう。
第一生命経済研+3
+13
<大企業製造業+20.5%>
大企業・製造業の業況判断DIは、前回(8)から▲5ポイント悪化して、3の「良い」超になると予想する。米国経済は、利上げ効果が浸透している。ISM製造業景況指数も、11月に遂に節目の50を割り込んだ。中国経済も悪化しており、輸出環境は厳しさを増している。
三菱総研+7
+16
<+16.2%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業が12月時点から横ばいの+7%ポイント、非製造業は同+1%ポイント上昇の+17%ポイントと予測する。製造業では、外需の減少が下押し要因となるものの、内需の緩やかな回復による下支えが期待され、業況は横ばいを維持するとみる。非製造業では、個人消費が底堅く推移するなか、インバウンド需要の回復の本格化もあり、小幅上昇を見込む。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+8
+17
<大企業全産業+20.8%>
る日銀短観(2022年12月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業で、前回調査(2022年9月調査)から横ばいの8になると予測する。堅調な輸出、国内での設備投資需要の持ち直し、輸出企業における円安メリット等のプラス材料はあるが、多くの業種で輸入コストの増加が利益を圧迫するため、製造業の業況感は足踏み状態となるだろう。先行きは、半導体等の部品不足による自動車等の生産制約が和らぐと期待される一方、多くの業種で世界経済の減速による需要の下振れリスクが意識され、製造業全体では1ポイント悪化の7と予測する。
農林中金総研+6
+16
<+16.0%>
先行きに関しては、一次産品価格の高止まりや円安定着によるコスト高が収益圧迫につながるとの懸念が強いほか、世界的なスタグフレーションへの警戒、ゼロ・コロナ政策を続ける中国経済の足踏み、欧州のエネルギー危機リスクなどが景況悪化につながるとみられる。以上から、製造業では大企業が4、中小企業が▲9と、今回予測からともに▲2ポイントの悪化予想と見込む。非製造業でも大企業が15、中小企業では2と、今回予測からそれぞれ▲1ポイント、▲2ポイントと、悪化を予想する。
明治安田総研+6
+16
<+16.9%>
12月の先行きDIに関しては、大企業・非製造業は2ポイント悪化の+14、中小企業は3ポイント悪化の+1を見込む。インバウンド需要の増加や政府の観光促進策により、旅行・外出需要が引き続き見込まれることから、対面サービス業を中心に業況の改善傾向が続くとみるが、仕入れコスト上昇に伴う価格転嫁が今後一段と進むことで、個人消費が抑制され、全体として業況は悪化すると予想する。

大雑把な平均的見方として、12月調査の日銀短観の業況判断DIでは大企業製造業では悪化、大企業非製造業では改善、ただし、いずれも変化幅は前回9月調査から±2~3ポイントと小幅で、日銀短観の統計としてのヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは悪化するとはいえ、まだプラス圏内にとどまる、といったところでしょうか。例えば、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、大企業製造業が前回9月調査から▲2ポイント悪化の+8、非製造業は逆に+3ポイント改善の+17、となっています。しかも、大企業製造業の下限でも+3ですから、マイナスに落ち込むことは想定されていない、というように私は解釈しています。加えて、設備投資計画についてもよく似た予想となっていて、例えば、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、大企業全産業で昨年度比+20.4%増と前回9月調査の+21.5%から小幅に下方修正されるものの、+20%は超えるとの見方が多く、レンジの下限は+18.2%だったりします。
製造業の業況判断DIが前回調査から落ちる要因としては海外経済ということになります。すなわち、先進各国でインフレ抑制のために金融引締めが続いており、米国をはじめとして景気後退に入ることを覚悟する必要があるからです。また、中国のゼロ・コロナ政策の先行きも不透明です。いずれも、製造業の輸出には影響が出ます。他方、非製造業については新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大がすでに第8波に入ったとしても、ワクチン接種の広がりなどから第7波やそれ以前ほどの影響は出ない可能性がある上に、インバウンド消費の拡大も見込めることから、横ばいないし小幅の改善と見込むシンクタンクが多くなっています。まあ、そうなのかもしれません。
最後に、下のグラフは三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートから業況判断DIの推移を引用しています。

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