今年読んだ本の総集編やいかに?
私のバーチャルな知り合いで、毎月の月末にその月に読んだ本をランキングにして日記にしている人がいます。そのマネッこながら、月単位での読書量は私の場合たかが知れていますので、1年かけて今年の読書で印象に残った本をジャンル別に上げて、今年2022年の読書の総集編としたいと思います。特に印象的だった本は強調しておきます。
(1) 経済書部門
オリヴィエ・ブランシャール&ダニ・ロドリック[編]『格差と闘え』(慶應義塾大学出版会)
ヤニス・バルファキス『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』(講談社)
マリアナ・マッツカート『ミッション・エコノミー』(NewsPicksパブリッシング)
平井俊顕『ヴェルサイユ体制 対 ケインズ』(上智大学出版)
大門実紀史『やさしく強い経済』(新日本出版社)
(2) 教養書部門
スティーブン・ピンカー『人はどこまで合理的か』上下(草思社)
ジェイク・ローゼンフェルド『給料はあなたの価値なのか』(みすず書房)
ジェフリー S. ローゼンタール『それはあくまで偶然です』(早川書房)
(3) 純文学部門
吉田修一『ミス・サンシャイン』(文藝春秋)
高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』(講談社)
(4) エンタメ小説部門
万城目学『あの子とQ』(新潮社)
三浦しをん『エレジーは流れない』(双葉社)
(5) ミステリ部門
莫理斯(トレヴァー・モリス)『辮髪のシャーロック・ホームズ』(文藝春秋)
シヴォーン・ダウド『ロンドン・アイの謎』(東京創元社)
織守きょうや『花束は毒』(文藝春秋)
有栖川有栖『捜査線上の夕映え』(文藝春秋)
方丈貴恵『名探偵に甘美なる死を』(東京創元社)
(6) SF小説部門
アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』上下(早川書房)
(7) 時代小説部門
周防柳『身もこがれつつ』(中央公論新社)
宮部みゆき『子宝船』(PHP研究所)
(8) ノンフィクション部門
平野啓一郎『死刑について』(岩波書店)
佐藤明彦『非正規教員の研究』(時事通信社)
鳥谷敬『明日、野球やめます』(集英社)
上原彩子『指先から、世界とつながる』(ヤマハ)
(9) 新書部門
倉山満『ウルトラマンの伝言』(PHP新書)
笹山敬輔『ドリフターズとその時代』(文春新書)
小野善康『資本主義の方程式』(中公新書)
小林美希『年収443万円』(講談社現代新書)
橋場弦『古代ギリシアの民主政』(岩波新書)
(10) 番外部門
松尾匡『コロナショック・ドクトリン』(論創社)
まず、(1)経済書ですが、左派リベラルの経済書が並びます。日本共産党の経済論客の経済書もあったりします。どうしても、マイクロな経済学よりもマクロ経済学の本が多くなります。(2)教養書はこんなもんでしょう。専門のマクロ経済に近い分野の本が多いのは当然ですが、今年は歴史書に恵まれなかった気がします。(3)純文学はそれほど読まないのですが、勤務校OGの芥川賞受賞作は敬意を表して入っています。(4)エンタメ小説もミステリ以外はそれほど読んでいません。(5)ミステリ部門は『辮髪のシャーロック・ホームズ』がピカイチです。今年といわず、ここ数年の中でも最高の一作です。(6)SFもあまり読んでいないのですが、ウィアーは『火星の人』から一貫して評価しています。(7)時代小説はあさのあつこの「小舞藩シリーズ」も考えないでもなかったのですが、この2作にします。(8)ノンフィクションは死刑反対の私の意見に似通った本のほか、野球とピアノを入れました。(9)新書部門は大量に読んでいますので、このセレクションには自信があります。(10)9部門では中途半端なので第10部門を入れて、勤務校の同僚からご恵投いただいた本を取り上げておきます。
この中でたった1冊だけを選ぶとすれば、ミステリ部門の『辮髪のシャーロック・ホームズ』といいたいところですが、同じ趣味の分野ながら、新書部門の『ウルトラマンの伝言』を上げたいと思います。今年もっとも印象に残った本といえます。
みなさま、よいお年をお迎えください。
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