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2022年12月22日 (木)

賃金と生産性とスキルについての雑感

先日、2022年度下期の直木三十五賞の候補作が5点公表されています。以下の通りです。

  • 一穂ミチ『光のとこにいてね』(文藝春秋)
  • 小川哲『地図と拳』(集英社)
  • 雫井脩介『クロコダイル・ティアーズ』(文藝春秋)
  • 千早茜『しろがねの葉』(新潮社)
  • 凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社)

もちろん、直木賞候補作品ですから、それなりに名の知れた有名作家ばかりです。昨日、私は大学の生協に 千早茜『しろがねの葉』(新潮社) を注文に行きました。文学部のOGで、今年上半期の芥川賞を受賞した 高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』(講談社) と同じパターンで、生協の書店では売り切れることが確実と考えました。
生協の書店で注文すると、いきなり、「『しろがねのは』って、どんな漢字ですか」と質問され、挙げ句に、「売切れで版元にもなくて、人気なんですかね」と言われてしまいました。版元に電話までしながら、「重版も近々出るのですが、すべて予約でいっぱい」と言い放たれてしまいます。私は少しびっくりしました。そうすると、奥から別の書店員さんが出て来て言うに、「明日の12月23日に重版が出来上がって、1冊だけ予約して確保してあります」とのことでしたので、私の方に取り置きをお願いしておきました。まあ、GDP統計や消費者物価指数などの経済指標のニュースに無関心な経済学部の学生さんが少なくないように私は感じていますので、たとえOG作家さんであっても、有名文学賞のニュースに無関心な書店員さんもいるのだろうとは思います。他方で、世の中には、「本屋大賞」とかあって、書店員さんが選ぶ賞もあります。それなりに「本の目利き」のような書店員さんはいっぱいいるんだろうとも想像しています。例えば、「目利き」ほど大げさではないとしても、10年以上も昔ながら、長崎大学の生協の書店での実体験として、「村上春樹の『1Q84 BOOK3』を予約できるのですが、先生はお好きだったようなので取っておきますか」と聞かれたことがあります。当時は、というか、今でも村上作品は好きですので取り置きをお願いしました。他方で、「先生が買わなくても人気の本ですし、売れ残ることはないでしょうから、予約はしておきます」ということでした。まあ、順当な経営判断だという気がした記憶があります。
極めて限定されたサンプルしか見ていませんし、ここ10年で書店員さんのスキルが大きく落ちたとは私は決して思いません。でも、通常、経済界のおエラい社長さんなんかが言うように「スキルアップして生産性を上げないと賃上げができない」という関係は、もちろん、一定正しいとはいえ、同時に、逆の因果関係で、賃上げがなされないがために、その低い賃金に適合したスキルしか身につけられず、従って、生産性も上がらず、低賃金と低スキルと低生産性のトラップに陥っている、という関係も無視できないような気がします。ひょっとしたら、非正規雇用の書店員さんはそういった可能性が高いのかも知れません。私の想像ですから、間違っているかもしれません。

最後に、2022年度下期の直木賞にお話しを戻すと、勤務大学のOGの作品ながら、『しろがねの葉』の受賞はどこまで期待できるかどうか不透明です。直木賞候補ですので、ほかにも人気作家が並んでいますし、『しろがねの葉』は戦国時代末期の石見銀山を舞台にしていて、やや地味な時代小説、とも聞き及んでいます。まあ、間もなく入手できるでしょうから実際に読んでみたいと思います。

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