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2023年1月11日 (水)

基調判断が「改善」で据え置かれた2022年11月統計の景気動向指数をどう見るか?

本日、内閣府から11月の景気動向指数公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数が前月から▲0.5ポイント下降の99.1を示した一方で、CI一致指数は▲1.0ポイント下降の97.6を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

22年11月の景気一致指数、0.5ポイント低下 基調判断は据え置き
内閣府が11日発表した2022年11月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.5ポイント低下の99.1となった。QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.5ポイント低下だった。数カ月後の景気を示す先行指数は1.0ポイント低下の97.6だった。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。

いつもながら、コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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11月統計のCI一致指数については、3か月連続の下降ながら、7か月後方移動平均はまだ上昇を続けています。したがって、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「改善」で据え置いています。ただし、3か月後方移動平均は10月統計から下降に転じています。また、CI一致指数を構成する系列を詳しく見ると、マイナスの寄与が大きい順に、生産指数(鉱工業)▲0.42ポイント、投資財出荷指数(除輸送機械)▲0.30ポイント、商業販売額(卸売業)(前年同月比)と輸出数量指数がともに▲0.21ポイントなどとなっています。他方、プラス寄与は、大きなものでは耐久消費財出荷指数+0.41ポイントが上げられます。
景気の先行きについては、国内のインフレや円安の景気への影響については中立的に私は見ています。ただし、CI先行指数の3か月後方移動平均も7か月連続後方移動平均も、ともに、2022年9月統計から3か月連続でマイナスに転じています。加えて、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大は明らかに増加に転じた可能性が高く、第8波に入っていると考えるべきです。国内要因は中立的としても、海外要因については、欧米をはじめとする各国ではインフレ対応のために金融政策が引締めに転じていて、米国をはじめとして先進国では景気後退に向かっている可能性が十分あります。ですから、全体としては、先行きリスクは中立というよりも下方に厚い可能性があると考えるべきです。
例えば、第一生命経済研究所のリポートでは、「12月分で基調判断が『足踏み』に下方修正される可能性」があると指摘するとともに、「海外経済の減速から輸出が落ち込む展開となれば、基調判断は『足踏み』にとどまらず、『下方への局面変化』、『悪化』へと進んでいく可能性がある」と結論しています。私もいくぶんなりとも合意します。

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