ニッセイ基礎研究所「もし日銀が利上げしたら日経平均はいくら下落するか」やいかに?
昨日1月16日にニッセイ基礎研究所から「もし日銀が利上げしたら日経平均はいくら下落するか」と題するリポートが明らかにされています。広く報じられているように、昨年2022 年12月20日に、日銀は0.25%程度であった長期金利の上限を0.5%程度に引き上げ、ここ数日、長期金利はほぼほぼこの上限金利で推移しています。
まず、リポートから 上昇が止まらない日本の長期金利 のグラフを引用すると上の通りです。今日明日と開催されている日銀金融政策決定会合もにらみつつ、市場での長期金利上昇圧力が強くなっているのが読み取れます。
金利上昇は、当然に、短期的には為替レートの増価、すなわち、円高に帰結しますので、景気の下押し圧力、そして、株価の下落要因となります。そして、結論としての 長期金利が上昇した場合の理論株価 (試算) をリポートから引用すると上のテーブルの通りです。テーブルの中にあるように、「イールドスプレッドと予想EPSを固定した場合の試算」の結果です。先週末の1月13日の時点で、長期金利は0.50%、PERの逆数である株式の収益利回りは8.18%、この両者の差であるイールドスプレッドは7.68%あります。もし、長期金利が1.00%に上昇した場合、株と国債のイールドスプレッドが変わらないと仮定すると、株式の収益利回りも国債に合わせる形で8.68%に上昇します。EPSで計測される株式のリターンが変わらない仮定の下で、株式の収益利回りが上昇するわけですので、株価水準が低下する必要があります。ですので、1月13日の株価水準に比べて、長期金利が1.00%になると日経平均株価は▲11.4%、▲2,981円下落する、という試算結果が示されています。
実は、このリポートでは、テーブルの数字を読み違えている、というか、テーブルからの転記ミスがあったりするのですが、秀逸なのはイールドカーブが日銀における操作対象となっている10年もの国債の部分でへこんでいて、10年を少し下回る満期の国債金利が0.5%を上回ったりしているグラフが示されたりしている点です。イールドカーブをスムーズにして金融市場での取引を正常化するために、イールドカーブに合わせて10年もの国債金利を上げる、というのは、本末転倒な気がしますが、ひょっとしたら、さらに上限金利が引き上げられる可能性はゼロではないかもしれません。
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