とうとう基調判断が下方修正された12月の景気動向指数をどう見るか?
本日、内閣府から昨年2022年12月の景気動向指数公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数が前月から▲0.5ポイント下降の97.2を示した一方で、CI一致指数は▲0.4ポイント下降の98.9を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
景気「足踏み」に下方修正 22年12月の動向指数
内閣府が7日発表した2022年12月の景気動向指数(CI、2015年=100)の速報値は、足元の経済動向を示す一致指数が前月比0.4ポイント低い98.9だった。4カ月連続のマイナスとなった。海外経済の減速を背景に、ボイラーといった機械の出荷や、アジア向けの輸出が落ち込んだ。
内閣府は指数をもとに機械的に作成する景気の基調判断を「足踏みを示している」と下方修正した。22年1月以来11カ月ぶりの表現で、下方修正は21年9月以来、1年3カ月ぶりとなった。
いつもながら、コンパクトによく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

202年12月統計のCI一致指数については、7か月後方移動平均はまだ上昇を続けていますが、4か月連続の下降であり、3か月後方移動平均でも3か月連続の下降となっています。従って、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「改善」から「足踏み」に下方修正しています。また、CI一致指数を構成する系列を詳しく見ると、マイナスの寄与が大きい順に、輸出数量指数▲0.50ポイント、鉱工業用生産財出荷指数▲0.22ポイント、商業販売額(卸売業)(前年同月比)▲0.11ポイントなどとなっています。他方、プラス寄与は、大きなものでは耐久消費財出荷指数+0.23ポイント、商業販売額(小売業)(前年同月比)+0.15ポイントなどが上げられます。景気の先行きについては、国内のインフレや円安の景気への影響については中立的と、私は見ています。ただし、国内要因は中立的としても、海外要因については、欧米をはじめとする各国ではインフレ対応のために金融政策が引締めに転じていて、米国をはじめとして先進国では景気後退に向かっている可能性が十分あります。景気動向指数の観点からして、輸出数量指数が最大のマイナス寄与を示している点に現れています。ですから、全体としては、先行きリスクは中立というよりも下方に厚い可能性があると考えるべきです。
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