コロナからの回復期に国際協力の資金援助はどこまで効果があったか?
昨日に続いて、これまた旧聞に属するトピックながら、先週6月14日のIMF BlogのChart of the Week, How Financing Can Boost Low-Income Countries' Resilience to Shocks に注目します。
私が体力の回復に努めていた間の今年2023年4月にIMFから World Economic Outlook, April 2023: A Rocky Recovery が公刊されています。しかし、2020年の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミック以降の低所得国の経済は思わしくなく、経済見通しも下方修正となっている点を指摘し、特に、"To boost economic growth and put them back on a path to income convergence with advanced economies, we estimate that low-income countries need an additional $440 billion of financing through 2026 from all available sources." と強調しています。その上で、以下のようなグラフを示しています。
4枚のパネルを順に見ていくと、すべてが何らかの意味でCOVID-19で大きなダメージを受けているわけで、まず、左上のパネルは交通や移動のセクター、右上は小売やレクリエーション、左下が夜間照明、そして、右下が総合的な経済活動となっています。たしかに、上段の2つのパネルで示された交通・移動や小売・レクリエーションのセクターは、何らかの資金援助を受けている方(funded)が回復が速いペースで進んでいる、というのは明らかです。しかし、右下の総合的な経済活動の指数を見ると、資金援助を受けているかどうかで大きな差はないようにも見えます。分析では、IMFからの資金供与が10%増えると経済活動指数が0.2%ポイント向上する、すなわち、"An illustrative 10 percent increase in IMF financing was associated with a 0.2 percentage point increase in economic activity, on average over the course of the pandemic" と指摘していますが、COVID-19のダメージの大きなセクターでは効果が大きい一方で、総合的にはこの程度なのかもしれません。
最後に、一応、念のためですが、IMF Blogのサイトではグラフが動画(昔のFlash Videoみたい?)で提供されているので、上の画像はTwitterのサイトから引用しています。なお、こういった試算を行っているのは以下のリファレンスです。ご参考まで。
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