ひさしぶりに前月差マイナスとなった8月の消費者態度指数をどう見るか?
本日、内閣府から8月の消費者態度指数が公表されています。8月統計では、前月から▲0.9ポイント低下し36.2を記録しています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
消費者態度指数、8月は9カ月ぶりマイナス 雇用環境など悪化
内閣府が30日に発表した8月消費動向調査によると、消費者態度指数(2人以の世帯・季節調整値)は前月比0.9ポイント低下の36.2で、昨年11月以来9カ月ぶりにマイナスとなった。基調判断は「改善に向けた動きがみられる」で、前月から据え置いた。
8月は9カ月ぶりに4項目の指標がそろってマイナスとなった。雇用環境が1.3ポイント低下したほか、耐久消費財の買い時判断も1.1ポイント低下。暮らし向きは1.0ポイント、収入の増え方は0.2ポイントそれぞれ低下した。
1年後の物価が上昇すると回答した世帯の比率は93.7%で前月比0.9ポイント増えた。上昇幅が5%以上との回答比率は7月の51.2%から51.1%に微減となった。一方2%以上5%未満との回答が7月の31.7%から32.5%に増えた。
的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りで、ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。影を付けた部分は景気後退期となっています。

指数を構成する4指標すべてが低下しています。すなわち、前月からの低下幅の大きい順に、「雇用環境」が▲1.3ポイント低下し42.7、「耐久消費財の買い時判断」が▲1.1ポイント低下し30.0、「暮らし向き」が▲1.0ポイント低下し32.9、「収入の増え方」が▲0.2ポイント低下し39.0となっています。「収入の増え方」が前月から▲0.2ポイントの低下にとどまっている一方で、「暮らし向き」が▲1.0と大きく低下しています。インフレの影響のため、賃金をはじめとする名目所得はそれほどのダメージではない一方で、購買力という意味での実質所得がインフレのために低下しているわけです。「耐久消費財の買い時判断」についても、同様の感想を持ちます。ただ、「雇用環境」については、前月差で見ると大きく低下しているように見えますが、水準が42.7と飛び抜けて高いので評価はビミョーだという気がします。グラフを見ても判るように、8月統計に現れた消費者マインドはやや一休みの感がありますが、統計作成官庁である内閣府では基調判断について、先月と同じ「改善に向けた動きがみられる」に据え置いています。消費者マインドは決して悪くないものの、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染法上の分類変更に従って、経済社会や国民生活がポストコロナに向かう中で、グングンと改善するという段階は過ぎたようです。
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