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2023年9月19日 (火)

リクルートのリポート「2023年度 最低賃金改定の影響に関する調査レポート」を読む

先週金曜日の9月15日にリクルートから8月時点での「2023年度 最低賃金改定の影響に関する調査レポート」が明らかにされています。ざっくりいうと、リクルートのジョブズリサーチセンターが毎月調査発表している「アルバイト・パート募集時平均時給調査」のデータを基に、厚生労働省の「令和5年度 地域別最低賃金額答申状況」と照らし合わせて、最低賃金改定の影響を調べた結果です。

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広く報じられているように、2023年度は中央最低賃金審議会より39~41円の引き上げが目安として答申され、最終的には39~47円の引き上げが決まりました。この結果、全国加重平均では43円引き上げられて1,004円となっています。ということで、まず、リポートから 最低賃金(全国加重平均)の推移 のグラフを引用すると上の通りです。繰り返しになりますが、全国平均でまだ時給1,000円をようやく超えたばかりで、かなり渋い水準です。しかも、1,500円に引き上げるのには2030年代半ばまで10年余りの期間をかけると岸田総理が明らかにしていますので、ちょっと世界標準からほど遠い印象です。まあ、それはそれとして、8月時点で改定後最低賃金を下回る求人の割合を確認してみると、全国で34.5%に達しています。最低賃金は10月から施行されますので、逆から見て、この34.5%の求人案件は最低賃金に合わせて賃上げがなされるわけです。

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リポートから 8月時点で改定後最低賃金を下回る求人の割合 のグラフを引用すると上の通りです。上のパネルはエリア別、下は職種別となっています。私の方で結合させています。繰り返しになりますが、全国平均で34.5%の未達率でしたが、見ての通りで、関西では40%超となっており、次いで北海道が高い、という結果となっています。都道府県別では、兵庫48.5%、神奈川47.9%、新潟44.0%、愛知40.7%、京都40.1%の5府県が40%を上回っています。職種別でも見ての通りなのですが、未達率は「販売・サービス系」で43.8%ともっとも高く、「フード系」37.4%、「製造・物流・清掃系」30.1%が30%を上回っています。

直感的には、雇用の需給が緩和しているエリアや職種ほど賃金が低く、その意味で、最低賃金を下回る未達率が高いと考えられます。でも、繰り返しになりますが、逆から見れば、そういったエリアや職種では最低賃金の施行により賃上げの恩恵がある、ということも忘れるべきではありません。

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