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2023年9月 6日 (水)

明後日公表の4-6月期GDP統計速報2次QEは外需依存の高成長ながら1次QEからわずかに下方修正か?

先週9月1日の法人企業統計をはじめとして、必要な統計がほぼ出そろって、明後日9月8日に4~6月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。ということで、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、GDP統計の期間である4~6月期ではなく、足元の7~9月期から先行きの景気動向について重視して拾おうとしています。ただし、いつものように、2次QEですのでアッサリとした解説が多く、中には法人企業統計のオマケの扱いも少なくありません。例外はみずほリサーチ&テクノロジーズで、需要項目すべては取り上げきれませんので、消費だけにとどめてあります。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+1.5%
(+6.0%)
n.a.
日本総研+1.4%
(+5.6%)
4~6月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資と公共投資が下方改定される見込み。その結果、成長率は前期比年率+5.6%(前期比+1.4%)と、1次QE(前期比年率+6.0%、前期比+1.5%)から下方改定されると予想。
大和総研+1.4%
(+5.6%)
4-6月期GDP2次速報(QE)(9月8日公表予定)では実質GDP成長率が前期比年率+5.6%と、1次速報(同+6.0%)から下方修正されると予想する。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+1.3%
(+5.3%)
7~9月期については、水力発電の反動減に伴い再び火力発電が増加するとみられ、4~6月期に大幅に減少したLNG・石油輸入も増加に転じる可能性が高い。外需が4~6月期の反動でマイナスに寄与して4四半期ぶりのマイナス成長になる公算が大きいが、経済活動全体としては回復基調が継続しているとの見方を変える必要はないだろう(輸入については、2024年にかけて原子力発電所の再稼働が進展し、電源構成に占める火力のシェアは徐々に低下する見込みであることから、10~12月期以降のLNG・石炭の輸入は増加しにくい状況が続くと予測している)。
内需については7~9月期以降は底堅い推移が見込まれる。個人消費については、実質賃金の前年比マイナス幅が縮小傾向で推移すると見込まれることが好材料だ。夏場にかけて中小企業を含めた賃上げの給与への反映が進展するほか、最低賃金の引上げや人事院勧告の公務員給与への反映が今年度後半にかけて押し上げ要因になることで、名目賃金は2%台半ば程度で推移するであろう。一方、輸入物価の低下を受けて食料品を中心に消費者物価の上昇率は年度後半にかけて鈍化する見通しだ(帝国データバンク「「食品主要195社」価格改定動向調査(2023年9月)」によれば、主要食品メーカーの値上げ品目数は2022年以降で初めて2カ月連続で前年同月から減少している)。
感染懸念の後退に加えて夏のボーナス増加が押し上げ要因となり、夏場のサービス消費は堅調に推移している模様である。JCB/ナウキャスト「JCB 消費 NOW」で対人サービス消費(新系列基準、みずほリサーチ&テクノロジーズによる季節調整値)の推移をみると、7月は外食・娯楽が牽引して2019年平均対比101.2%(6月対比+3.5%)とコロナ前を上回る水準まで回復している。お盆期間の主要交通機関の予約状況が順調であったことを踏まえれば、これまで回復が遅れ気味だった旅行・交通や宿泊についても、増加が期待できる。JTBの「2023年夏休み(7月15日~8月31日)の旅行動向」によれば、国内旅行者数はコロナ禍前と同水準まで回復するほか、国内旅行平均費用もコロナ禍前対比で1割弱の増加が見込まれている。前年に引き続き国内旅行は長期化・遠距離化が加速しているほか、同行者も近しい家族から友人・知人に拡大する傾向が続いており、コロナ禍前の観光風景に戻りつつある。主要企業の7月売上高(月次IRベース)も家電やドラッグストア、スーパー5 を中心に堅調に推移しており、猛暑による夏物消費も押し上げに寄与したとみられる。
ニッセイ基礎研+1.3%
(+5.1%)
9/8公表予定の23年4-6月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比1.3%(前期比年率5.1%)となり、1次速報の前期比1.5%(前期比年率6.0%)から下方修正されるだろう。
第一生命経済研+1.4%
(+5.6%)
9月8日に内閣府から公表される2023年4-6期実質GDP(2次速報)は前期比年率+5.6%(前期比+1.4%)と、1次速報の前期比年率+6.0%(前期比+1.5%)から下方修正されると予想する。
伊藤忠総研+1.3%
(+5.1%)
4~6月期の実質GDP成長率(2次速報)は前期比+1.3%(年率+5.1%)と1次速報から下方修正される見通し。それでも高成長であり、内需拡大の一服を外需が補い景気回復が続く姿は不変。企業業績は順調に回復するも人件費の増加は控えめで賃上げ余地は大。賃金上昇が内需主導の景気回復を支える見込み。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+1.3%
(+5.4%)
2023年4~6月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+1.3%(前期比年率換算+5.4%)と1次速報値の前期比+1.5%(年率換算+6.0%)から下方修正される見込みである。ただし、修正後もプラス幅は大きく、景気は緩やかに持ち直しているとの評価が維持されることになろう。
三菱総研+1.2%
(+4.7%)
2023年4-6月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+1.2%(年率+4.7%)と、1次速報値(同+1.5%(年率+6.0%))から下方修正を予測する。
明治安田総研+1.3%
(+5.5%)
2023年4-6月期実質GDP成長率(2次速報)は前期比+1.3%(年率換算:+5.5%)と、1次速報の同+1.5%(同+6.0%)から下方修正を予想する。

見れば明らかな通り、4~6月期のGDP統計速報2次QEは、1次QEと大きな変更なく、外需に依存したプラス成長であり、1次QEからやや下方修正される、とのゆるやかなコンセンサスがあるようです。そして、足元の10~12月期は、おそらく、プラス成長を続けるものと見込まれています。みずほリサーチ&テクノロジーズのリポートではJCB/ナウキャスト「JCB消費NOW」に言及されていますが、私の方でも東京財団政策研の9月1日付けの「GDPナウキャスティング」を確認すると、7~9月期の成長率は前期比で0.49%、年率1.98%との結果が示されています。しかし、その先、さらに、来年以降ということになると、決して楽観はできないと私は受け止めています。おそらく、米国をはじめとする欧米先進国はインフレ抑制のために金融引締を継続していて、米国などでは景気後退に入ることなくソフトランディングが期待されていますが、いずれにせよ、先進国だけでなく中国も含めて、先行き世界経済が減速することは明らかです。ある程度は内需が盛り返すことを期待できるものの、しかも、政府はたいして景気に寄与しない軍事費/防衛費の増加のために増税を実施して国民負担増を求める、ということになれば、先行き日本経済の見通しは決して明るくない、と考えざるを得ません。
最後に、下のグラフはみずほリサーチ&テクノロジーズのリポートから引用しています。

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