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2023年9月12日 (火)

テレワークと人工知能AIによる自動化が代替的か補完的か?

先月8月に公表されたNBERのワーキングペーパー "Are Software Automation and Teleworkers Substitutes? Preliminary Evidence from Japan" です。新型コロナウィルス(COVID-19)のパンデミック期におけるテレワークと人工知能AIによる自動化が代替的か、あるいは、補完的かを日本のデータに基づいて検証し、予備的な証拠 preliminary evidence としては補完的である、との結果を導いています。まず、サイテーションは以下の通りです。

次に、NBERのサイトからアブストラクトを引用すると以下の通りです。

ABSTRUCT
Digital technology is reshaping workplaces by enabling spatial separation of offices, known as telework, or remote intelligence (RI), and by facilitating automation of service sector tasks via artificial intelligence (AI). This paper is a first attempt to empirically investigate whether AI and RI are complements or substitutes in the service sector. It uses a worker-level panel of surveys collected from around 10,000 workers from pre-COVID-19 pandemic to late 2022, we find preliminary evidence that suggests that AI and RI are complements rather than substitutes. The evidence comes first from the positive correlation of investments in AI-promoting and RI-promoting software at the firm and worker level, and second from the positive correlation of workers' expectations regarding telework and software automation. The evidence is far from definitive but suggests that the complement-substitution question is a fruitful line for future research.

データは、COVID-19パンデミック前から2022年末までの労働者約1万人のパネルデータを使っています。pdfのペーパー本体からビジュアルなグラフを引用して簡単に見ておきたいと思います。

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まず、ワーキングペーパーから Figure 7: Usage in 2020 of software facilitating telework and task automation を引用すると上の通りです。横軸がテレワーク向けのソフトウェア、縦軸が自動化のソフトウェアの使用となっています。企業レベルでの投資額を取っています。労働者は職業別に分類されており、見ての通りで、ICTエンジニア、研究者、アドミ部門の労働者、などなどとなっていて、さらに大雑把に、オフィス労働者、現場労働者の3色に分けてプロットしてあります。見れば明らかなように、正の相関が観察されます。コーヒーとお砂糖のように、テレワークと自動化のうち片方が増えれば、もう一方も増えるということで、補完的な関係にある、と見なせます。これが、逆に、負の相関であれば、コーヒーが増えれば紅茶が減る、というように、代替的な関係となるのですが、リモートワーク向けのソフトと自動化用のソフトは正の相関があるわけです。

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続いて、ワーキングペーパーから Figure 9: Workers' expectations of telework and task automation in their jobs を引用すると上の通りです。こちらは、労働者レベルの期待のレベルで、これまた、横軸のテレワークと縦軸の自動化の間には正の相関があり、補完的である可能性が示唆されています。

繰り返しになりますが、まだ、予備的な証拠 preliminary evidence としては補完的である、というレベルですが、それはそれなりに興味深い結果が示されています。

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