米国経済学会 Climate policies around the world やいかに?
やや旧聞に属するトピックかもしれませんが、米国経済学会 American Economic Association による Research Highlight に9月13日付けで Climate policies around the world と題する記事が掲載されています。Journal of Economic Perspectives という学術誌に掲載されている Carbon Border Adjustments, Climate Clubs, and Subsidy Races When Climate Policies Vary からの記事となっています。まず、この論文のサイテーションは以下の通りです。
まず、論文から p.140 Figure 1 Carbon Pricing Coverage and Price Level by Jurisdiction を引用すると上の通りです。横軸が炭素価格システムのカバレッジ、縦軸が炭素価格、となっています。円の大きさは炭素排出量です。本来であれば、カバレッジが広くて右にあり、炭素排出抑制の観点からは炭素価格が高くて上にある、すなわち、右上にプロットされているのが望ましい、という見方が成り立ちます。しかし、例えば日本はカバレッジが70%超と広いものの、実行的に炭素価格をそれほど引き上げているわけではなく、温室効果ガス排出にはそれほど効果的ではない、ように見えます。もっとひどいのは中国であり、温室効果ガス排出量が多いにもかかわらず、カバレッジが狭い上に炭素価格も低い水準にあり、より効果的なシステムを必要としているように見えます。
続いて、論文から p.145 Figure 3 Public Investment in Clean Energy by Country and Policy Type, 2020-2021 を引用すると上の通りです。最近時点で、日本のクリーン・エネルギー投資がとても低い水準にとどまっているのが見て取れます。G7クラスの主要欧米先進国はもとより、中国やインドにすら後塵を拝しています。
私はもともと我が国における2050年カーボン・ニュートラルはかなりハードルが高いと感じていましたが、ホントに達成できるのでしょうか。私は2050年には軽く90歳を超えますから、存命している可能性はとても低いのですが、何とか人類の明るい未来のために、温室効果ガス排出の抑制には成功して欲しいと願っています。
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