改善の基調判断続く8月の景気動向指数をどう見るか?
本日、内閣府から8月の景気動向指数公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数が前月から+1.3ポイント上昇の109.5を示し、CI一致指数も+0.1ポイント上昇の114.3を記録しています。CI一致指数の上昇は2か月ぶりとなっています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。
景気動向一致指数、8月は2カ月ぶり改善 判断据え置き=内閣府
内閣府が6日公表した8月の景気動向指数速報(2020年=100)は、指標とされる一致指数が前月比0.1ポイント上昇の114.3で、2カ月ぶりのプラスとなった。輸出数量指数が悪化したものの、普通車や軽乗用車などの出荷増で耐久消費財出荷指数が改善した。
半導体など電子部品・デバイスの出荷が増え、鉱工業用生産財出荷指数も上向いた。
先行指数は同1.3ポイント上昇の109.5で3か月ぶりにプラス。鉱工業用生産財在庫率指数などが寄与した。電子部品・デバイスなどの出荷改善で、在庫が減少した。新規求人数もプラスで、サービス・飲食関連の求人などが増えた。
一致指数から機械的に決める基調判断は「改善を示している」とし、前月から据え置いた。
とてもシンプルに取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

8月統計のCI一致指数については、2か月ぶりの上昇となりましたが、その前は半年ほど連続で上昇していましたし、3か月後方移動平均は2か月連続の下降、7か月後方移動平均では4か月連続の上昇となっています。統計作成官庁である内閣府が基調判断を「改善」で据え置いています。もっとも、CI一致指数やCI先行指数を見る限り、このブログで何度も繰り返しますが、我が国の景気回復・拡大は局面の後半に入っていると考えるべきです。ただし、すでに景気後退局面に入っているわけではなさそうで、さらに、一昨日取り上げたピーターソン国際経済研究所(PIIP)の「2023年秋季世界経済見通し」のように、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう急には景気後退入はしない可能性が高い、と私は考えています。CI一致指数を構成する系列を詳しく見ると、プラスの寄与が大きい順に、耐久消費財出荷指数+0.34ポイント、鉱工業用生産財出荷指数+0.15ポイント、投資財出荷指数(除輸送機械)+0.06ポイント、などとなっており、逆に、マイナス寄与が大きい系列は、輸出数量指数▲0.57ポイント、労働投入量指数(調査産業計)▲0.02ポイントなどとなっています。
景気の先行きについては、国内のインフレや円安の景気への影響などの国内要因はについては中立的、少なくとも、大きなマイナス要因とは考えていませんが、海外要因については、インバウンドを別にすれば、たとえ米国をはじめとする先進諸国がソフトランディングに成功して景気後退を免れるとしても、インフレ対応のために金融政策が引締めを継続しているわけですから、小幅なりともマイナスであろう、と考えていています。
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