国際通貨基金(IMF)の地域見通しアジア編やいかに?
先週10月10日にマラケッシュで国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」が公表されていますが、その後、地域経済見通しも順次明らかにされています。10月13日にはそのアジア編が IMF Blog で出版物に先駆けて明らかにされています。出版物のプレスリリースは10月18日のようです。タイトルは Asia Continues to Fuel Global Growth, but Economic Momentum is Slowing となっています。出版物がまだですが、地域見通しですので日本についても詳しく言及されていますし、IMF Blog のサイトから図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、IMF Blog のサイトから経済成長率見通しの総括表 Economic Forecasts: Asia and the Pacific を引用すると上の通りです。国際通貨基金(IMF)による最新の World Economic Outlook では、世界経済の成長率は2022年実績の+3.5%から、今年2023年+3.0%、来年2024年+2.9%と鈍化すると見込まれていますが、アジア太平洋地域では逆に2022年の+3.9%から、今年2023年には+4.6%に成長が加速すると予想されています。来年2024年には+4.2%とやや鈍化するものの、それでも、2022年実績を上回ると見込まれています。一言でいうと、中国の経済活動再開後の回復と、日本とインドの今年2023年上半期の予想を上回る成長によって説明されます "This is largely explained by the post-reopening recovery in China and stronger-than-expected growth in the first half of the year in Japan and India." ということになります。そして、来年2024年の成長率が鈍化し、さらに、4月時点の見通しよりも引き下げられたのは、東南アジアや日本などにおける世界経済の減速に伴う外需の停滞と、中国での不動産投資の低迷を一部反映している "reflecting weaker external demand as the global economy slows, such as in Southeast Asia and Japan, and faltering real estate investment in China." という理由によります。
続いて、IMF Blog のサイトから Prices back on track のグラフを引用すると上の通りです。明らかに、アジア太平洋地域におけるインフレは世界的に見て安定しているといえ、中央銀行の物価目標から大きく乖離することはありませんでした。特に、中国のインフレ率は目標を下回っており、不動産セクターからのストレスが深刻化する中で需要が低迷しているためである "inflation in China is below target and-with demand sluggish amid deepening stress emanating from the property sector" と指摘しています。
すでに公表されている「世界経済見通し」の地域版のサブセットなものですから、サラッと読んでしまっていますが、やっぱり、アジア太平洋地域では中国の不動産セクターの動向が気にかかる、というのは多くのビジネスパーソンやエコノミストの感じているところではないでしょうか。
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