今年2023年のベスト経済書やいかに?
師走が近づき、例年通りに「今年のベスト経済書」のアンケートが届く季節になりました。今年は財政政策に関して、私の見方に極めてよく合致する本がいくつか出版されましたので、次の2冊を上げようと考えています。
私はこれら2冊を主たる参考文献として、今年の夏休みに紀要論文 "An Essay on Public Debt Sustainability: Why Japanese Government Does Not Go Bankrupt?" を書いています。例えば、論文の冒頭で、"In general, public debt is widely regarded as bad, as mortgaging the future, or government borrowing would cost our children/grandchildren. Public debt and fiscal deficit must be, however, analyzed from the viewpoint of economic welfare, i.e., from both sides of cost and benefit. Blanchard (2022), e.g., suggests that debt might indeed be good under the assumption of certainty." すなわち、「一般に、公的債務は悪であり、将来からの借入れであるため、子孫に損害を与えると広く考えられています。 しかし、公的債務や財政赤字は、経済厚生の観点、つまり費用と便益の両面から分析されなければなりません。 たとえば、Blanchard (2022) は、確実性を仮定すれば借金は実際に良いものであるかもしれないと示唆しています。」などなどです。参考文献の Blanchard (2022) は、上に示した今年のベスト経済書候補の1番手です。私は現代貨幣理論(MMT)のように政府債務は無条件のサステイナブルであるとまでは考えませんが、政府の財政赤字や公的債務についてヒステリックに否定するだけでなく、コストとベネフィットの両面からバランスよく分析する必要があると考えています。紀要論文に書いた通りです。
昨年は、マリアナ・マッツカート『ミッション・エコノミー』(NewsPicksパブリッシング)をイチ推ししたのですが、大きくハズレてしまいました。今年も外すかもしれませんが、引き続き、ネオリベな経済政策に反対する立場を鮮明に打ち出したいと思います。ということで、果たして、今年のベスト経済書やいかに?
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