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2023年11月 8日 (水)

景気動向指数の先行きはラグありつつも金利上昇がマイナス要因か?

本日、内閣府から9月の景気動向指数公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数が前月から▲0.5ポイント下降の108.7を示した一方で、CI一致指数は+0.1ポイント上昇の114.7を記録しています。CI一致指数の上昇は2か月連続となっています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

景気動向一致指数9月は前月比0.1ポイント上昇、輸出数量増
内閣府が8日公表した9月の景気動向指数速報(2020年=100)は、指標となる一致指数が前月比0.1ポイント上昇の114.7と2カ月連続の上昇だった。
一方先行指数は前月比0.5ポイント低下の108.7となり2カ月ぶりマイナスだった。これらから一定のルールで機械的に決まる基調判断は「改善を示している」との4月以来の表現を据え置いた。
一致指数を押し上げたのは主に輸出数量指数。アジア向け中心に輸出数量が伸びた。有効求人倍率と鉱工業生産指数も押し上げに寄与した。
これに対して投資財出荷指数や小売販売額、耐久消費財出荷指数などは指数を押し下げた。投資財出荷指数は、建設用クレーンや産業用ロボットなどの出荷減が響いた。
先行指数を押し下げたのは新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、最終需要財在庫率指数、新設住宅着工床面積など。

とてもシンプルに取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

photo

9月統計のCI一致指数については、2か月連続の上昇となりました。7月統計で大きく下降したため、3か月後方移動平均の前月差ではまだ▲0.30ポイントと3か月連続のマイナスを記録しています。他方、7か月後方移動平均では5月統計から5か月連続の前月差プラスとなっています。統計作成官庁である内閣府が基調判断を「改善」で据え置いています。もっとも、CI一致指数やCI先行指数を見る限り、このブログで何度も繰り返しますが、我が国の景気回復・拡大は局面の後半に入っていると考えるべきです。ただし、すでに景気後退局面に入っているわけではなさそうで、さらに、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう急には景気後退入はしない可能性が高い、と私は考えています。CI一致指数を構成する系列を詳しく見ると、プラスの寄与では、輸出数量指数が+0.60ポイントと圧倒的で、有効求人倍率(除学卒)+0.06ポイント、生産指数(鉱工業)+0.04ポイントとなっています。逆に、マイナス寄与が大きい系列は、投資財出荷指数(除輸送機械)▲0.25ポイント、商業販売額(小売業)(前年同月比)▲0.16ポイント、耐久消費財出荷指数と商業販売額(卸売業)(前年同月比)がともに▲0.09ポイントなどとなっています。なお、一致指数に組み入れられている有効求人倍率は小幅にプラス寄与していますが、選考指数に入っている新規求人数は大きなマイナス寄与となっています。
景気の先行きについては、国内のインフレや円安の景気への影響などはともかく、日銀の異次元緩和政策の修正に伴う金利上昇に関してはある程度はマイナス要因と考えるべきです。もっとも、ラグが長いので注意が必要です。政府の総合経済対策は毒にも薬にもならないような気がします。他方、海外要因については、インバウンドを別にして、もしも米国をはじめとする先進諸国がソフトランディングに成功して景気後退を免れるとすれば、大きなマイナス要因にはならないだろう、と少し考えを変更しています。

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