7-9月期GDP統計速報2次QEの予想やいかに?
先週の法人企業統計をはじめとして、必要な統計がほぼ出そろって、今週金曜日の12月8日に7~9月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。ということで、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下のテーブルの通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、GDP統計の期間である7~9月期ではなく、足元の10~12月期から先行きの景気動向を重視して拾おうとしています。ただし、いつものように、2次QEですのでアッサリとした解説が多く、中には法人企業統計のオマケの扱いも少なくありません。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 実質GDP成長率 (前期比年率) | ヘッドライン |
内閣府1次QE | ▲0.5% (▲2.1%) | n.a. |
日本総研 | ▲0.5% (▲2.0%) | 7#xFF5E;9月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資と公共投資が小幅に上方改定される見込み。この結果、成長率は前期比年率▲2.0%(前期比▲0.5%)と、1次QE(前期比年率▲2.1%、前期比▲0.5%)からわずかながら上方改定されると予想。 |
大和総研 | ▲0.3% (▲1.1%) | 内需寄与度は1次速報から上方修正されると予想する。2次速報では、個人消費や設備投資などの民需が振るわず、停滞感が強かったことが改めて示されるだろう。 |
みずほリサーチ&テクノロジーズ | ▲0.5% (▲2.1%) | 先行きの日本経済は、外需が抑制される一方で内需が下支えし緩やかなプラス成長に戻るとみているが、その中で大きな焦点となるのが、2023年に盛り上がった賃上げ気運が2024年以降も持続するかどうかである。コストとしての人件費上昇はサービス分野を中心に物価押し上げ要因になることに加え、持続的な賃上げで家計の購買力・消費需要が高まれば、企業からみて価格転嫁をしやすくなり、「賃金と物価の好循環」が実現する可能性が高まる。 (略) 仮に2024年の賃上げ率が2023年以上の高い水準になり、2%物価目標達成の公算が大きくなったと日本銀行が判断した場合には、イールドカーブ・コントロール(YCC)撤廃やマイナス金利解除といった金融政策の修正が来年前半にも実施される可能性が高まる。黒田前総裁の体制から続いた異次元緩和からの転換という点で、大きな節目と言えよう。この場合、先行きの金融政策正常化期待から長期金利は1%を上回る水準に上昇するほか、(米金利の動向にも左右されるが)ドル円相場は1ドル=130円台まで円高が進む可能性もあるとみずほリサーチ&テクノロジーズは想定している。 現時点では、個人消費が力強さを欠く中で企業の価格転嫁姿勢に慎重姿勢が残り、2%物価目標の達成は難しいとの見方がメインシナリオであるが(輸入物価上昇の影響が剥落する2025年度以降のコアCPI前年比は2%を下回る水準まで鈍化する可能性が高いと予測している)、2024年春闘の帰趨が賃金・物価の持続的な上昇が実現するかどうかの大きな分岐点になることは間違いない。年末頃からスタートする賃金交渉の行方に注目したい。 |
ニッセイ基礎研 | ▲0.6% (▲2.2%) | 12/8公表予定の23年7-9月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比▲0.6%(前期比年率▲2.2%)と予想する。1次速報の前期比▲0.5%(前期比年率▲2.1%)とほぼ変わらないだろう。 |
第一生命経済研 | ▲0.5% (▲2.1%) | 12月8日に内閣府から公表される2023年7-9期実質GDP(2次速報)は前期比年率▲2.2%(前期比▲0.6%)と、1次速報の前期比年率▲2.1%(前期比▲0.5%)から僅かに下方修正されると予想する。 |
伊藤忠総研 | ▲0.3% (▲1.1%) | 7#xFF5E;9月期の実質GDP成長率(2次速報)は前期比▲0.3%(年率▲1.1%)と1次速報から上方修正される見通し。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | ▲0.4% (▲1.6%) | 2023年7#xFF5E;9月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比▲0.4%(前期比年率換算▲1.6%)と1次速報値の前期比▲0.5%(年率換算▲2.1%)から上方修正される見込みである。 |
三菱総研 | ▲0.5% (▲2.1%) | 2023年7-9月期の実質GDP成長率は、季調済前期比▲0.5%(年率▲2.1%)と、1次速報値から据え置きを予測する。 |
明治安田総研 | ▲0.5% (▲2.0%) | 先行きに関しては、物価上昇率のピークアウトに伴う実質所得の増加などにより個人消費は回復に向かうと予想する。設備投資は計画が強いことから、向こう1~2年というタームではある程度堅調な推移が見込めるものの、機械受注などの先行指標の動向を確認する限り、少なくとも年内は軟調な推移が続く可能性が高まっている。輸出は、インバウンド需要の回復が一定程度下支えとなるものの、米国景気の減速や中国景気の回復の鈍さが足枷となり、冴えない推移が続くとみる。これらを踏まえれば、日本の景気は緩やかな回復にとどまると予想する。 |
上のテーブルを見れば明らかな通り、7~9月期のGDP統計速報2次QEは、1次QEと比較してもほとんど変更なく、消費や投資といった内需が振るわずに停滞した印象であり、情報修正されるとしても、下方修正されるとしても、その修正幅はわずかであろうと予想されています。ただし、足元の10~12月期については物価上昇のピークアウトを背景にプラス成長に回帰することを予想するシンクタンクがいくつかあります。もっとも、プラス成長を記録したとしても、それほど力強い成長を示すわけではなかろう、というのが緩やかなコンセンサスであると私は受け止めています。
下のグラフは、みずほリサーチ&テクノロジーズのリポートから引用しています。
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