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2024年1月 6日 (土)

+216千人の雇用増を記録した12月の米国雇用統計

日本時間の今夜、米国労働省から2023年12月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の前月差は昨年2021年から着実にプラスを記録していましたが、直近の12月統計では+216千人増となり、失業率は前月から横ばいの3.7%を記録しています。まず、USA Today のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を4パラ2タイトル引用すると以下の通りです。

December jobs report: Here are 7 key takeaways
The U.S. economy added 216,000 jobs in December and the unemployment rate held steady at 3.7% as the labor market unexpectedly picked up despite high interest rates.
Here are some key takeaways from the final employment report of the year.
Job growth was unexpectedly strong last month...But
The payroll gains easily topped the 175,000 forecast by economists in a Bloomberg survey. But the strong showing was offset by downward revisions totaling 70,000 to job gains in October and November.
The bottom line: mostly a wash, economists said.
Job growth slowed in 2023
Employers added 2.7 million jobs, or 225,000 a month, last year. That was down from 4.8 million, or 399,000 a month, in 2022 as a post-COVID surge in the economy faded. The pullback is consistent with the Federal Reserve's goal of paring back job and wage growth enough to tame inflation without sparking a recession - a feat known as a "soft landing."

いつもの通り、よく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。NBERでは2020年2月を米国景気の山、2020年4月を谷、とそれぞれ認定しています。ともかく、2020年4月からの雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。少し見やすくしたんですが、それでもまだ判りにくさが残っています。

photo

ということで、米国の雇用は非農業部門雇用者の増加が、ひとつの目安とされる+200千人を2か月連続でした上回り、失業率は3%台後半を継続しているものの、過去にさかのぼった統計の改定から、10月の雇用者増は+105千人、11月は+173千人と、それぞれ下方改定された上に、20万人を下回っています。特に、11月統計では自動車産業などでのストライキの影響が含まれているとはいえ、12月統計は雇用における人手不足が緩和されつつあり、物価上昇とともに落ち着きを取り戻しつつある、と私は評価しています。ただ、引用した記事の3パラめにあるように、Bloomberg による市場の事前コンセンサスでは+175千人の雇用増を見込んでいましたので、実績はやや上振れた印象です。昨年2023年12月13日の連邦公開市場委員会(FOMC)後に公表された最新の経済見通しである Summary of Economic Projections の想定するラインから、雇用についてはやや強い印象を持ちます。従って、米国の連邦準備制度理事会(FED)は今年2024年に3回の利下げを見込んでいるという記事を見かけましたが、利下げに対するタカ派的な声が強まることはあり得ると考えられます。それが日本経済にとっては、円安是正プロセスに何らかの影響を及ぼす可能性がありますから注意が必要かもしれません。

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