4か月ぶりに一致指数が下降した11月の景気動向指数をどう見るか?
本日、内閣府から昨年2023年11月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数は前月から▲1.2ポイント下降の107.7を示し、CI一致指数▲1.4ポイント下降の114.5を記録しています。CI一致指数の下降は4か月ぶりです。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。
景気一致指数4カ月ぶりマイナス、輸出など悪化 判断は「改善」維持
内閣府が11日公表した2023年11月の景気動向一致指数(速報値、2020年=100)、前月比1.4ポイント低下の114.5と4カ月ぶりのマイナスだった。輸出数量指数や投資財出荷指数の悪化が響き、同年1月以来のマイナス幅だった。
>先行指数3カ月連続マイナス>
輸出数量指数は欧米、アジア向けがいずれも減少し、全体を最も押し下げる要因となった。投資財出荷指数は前月にコンベヤーなどが伸びた反動もあった。鉱工業生産指数は自動車の悪化などが響いた。
一致指数から一定のルールで機械的に決まる基調判断は、昨年4月以来続く「改善を示している」との表現を据え置いた。3カ月移動平均が前月比で低下しているが、マイナス幅が大きくないことなどが理由。
先行指数は前月比1.2ポイント低下の107.7で、3カ月連続のマイナスだった。自動車の出荷減による最終需要財在庫率指数の悪化や、新設住宅着工床面積などが指数を下押しした。
とてもシンプルに取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

昨年2023年11月統計のCI一致指数については、4か月ぶりの下降となりました。3か月後方移動平均の前月差でも▲0.30ポイントの下降となり、加えて、7か月後方移動平均でも▲0.04ポイント下降と、当月、3か月と7か月の両方の後方移動平均とも前月差がマイナスに転じています。しかし、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「改善」で据え置いています。「足踏み」に下方修正する場合には、3か月後方移動平均が前月差でマイナスになるだけではなく、マイナス幅が1標準偏差以上になるという判断基準ですので、要するに、マイナス幅がまだ1標準偏差に達していないのであろうと私は想像しています。いずれにせよ、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そうすぐには景気後退入はしない可能性が高い、と私は考えています。従って、機械的判断ながら、まあ、「改善」でもいいか、という気はします。ただし、景気動向指数の基調判断は「改善」ながら、景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありません。なお、CI一致指数を構成する系列を詳しく見ると、プラスの寄与は、商業販売額(小売業)(前年同月比)+0.16ポイントと耐久消費財出荷指数+0.13ポイントくらいのもので、後は軒並みマイナス寄与となっています。すなわち、輸出数量指数が▲0.73ポイント、投資財出荷指数(除輸送機械)が▲0.34ポイント、有効求人倍率(除学卒)も▲0.29ポイント、生産指数(鉱工業)は▲0.15ポイント、商業販売額(卸売業)(前年同月比)が▲0.22ポイント、などなどとなっています。
最後に、世界経済フォーラムから Global Risks Report 2024 が明らかにされています。pdfの全文リポート p.7 から Current risk landscape を引用すると上の通りです。やっぱり、気候変動が大きなリスク要因と考えられているようです。私は2番めの人工知能(AI)の方が脅威だと思うのですが、コンセンサスではないのかもしれません。
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