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2024年1月30日 (火)

12月雇用統計で失業率は改善するも有効求人倍率は悪化

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率など、昨年2023年12月の雇用統計が公表されています。失業率は前月から△0.1%ポイント改善して2.4%を記録した一方で、有効求人倍率は前月から▲0.01ポイント悪化し1.27倍となっています。まず、日経新聞のサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

23年の求人倍率1.31倍、2年連続上昇 失業率は2.6%
厚生労働省が30日発表した2023年の有効求人倍率は1.31倍と、前年から0.03ポイント伸びた。上昇は2年連続だ。新型コロナウイルス禍から雇用環境が回復したが、伸び率は前年より鈍化した。総務省が同日発表した23年平均の完全失業率は2.6%と横ばいだった。
有効求人倍率は全国のハローワークで職を探す人に対し、1人あたり何件の求人があるかを指す。21年に1.13倍まで下がったが22年に1.28倍と反転し、今回はさらに改善した。コロナ前の19年水準(1.60倍)には届いていない。
月平均の有効求人数は0.9%増の249万6503人だった。国内外の往来再開で飲食・宿泊業が年前半に大きく伸びた。
有効求職者数は190万9647人で1.4%減少した。新規求職者のうち転職希望者が減っており「賃金の上昇を期待して転職活動を控えるといった動きがある」(厚労省)という。
厚労省が同日発表した12月の有効求人倍率(季節調整値)は1.27倍と、前月から0.01ポイント下がった。22年6月以来の低水準だ。
23年平均の完全失業者数は178万人で前年から1万人減った。15歳以上人口の就業率は61.2%と、前年比0.3ポイント上がった。3年連続で伸びた。
就業者数は24万人増の6747万人だった。職に就かず求職活動もしていない非労働力人口は4084万人と44万人減少し、新たに労働市場に参入する動きが目立ってきた。
23年12月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で前月から0.1ポイント低下した。

年次統計中心で長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。よく知られたように、失業率は景気に対して遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数ないし新規求人倍率は先行指標と見なされています。なお、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、失業率に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前月から横ばいの2.5%と見込まれ、有効求人倍率に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスも、前月から横ばいの1.28倍と見込まれていました。実績では、失業率は前月から改善した一方で、有効求人倍率はわずかに悪化し、やや不整合な形になりましたが、一致指標と遅行指標であることから、まあ、こんなもんかという気はします。いずれにせよ、足元の統計は改善がやや鈍い面もあるとはいえ、雇用は底堅いと私は評価しています。
先進各国がこのまま景気後退に陥らずにソフトランディングに成功すれば、我が国の雇用も大きく悪化するとは考えにくいのではないかと思います。ですので、問題は量的な雇用ではなく賃金動向です。その意味でも、今年の春闘が気にかかります。

今日は体調が悪くて、夕方から病院に行ったくらいですので、ここまでとしておきます。

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