基調判断が上方修正された12月の消費者態度指数
本日、内閣府から昨年2023年12月の消費者態度指数が公表されています。12月統計では、前月から+1.1ポイント上昇し37.2を記録しています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
消費者態度指数12月は37.2に改善、基調判断引き上げ=内閣府
内閣府が5日公表した消費動向調査によると、2023年12月の消費者態度指数は前月比1.1ポイント改善の37.2で、21年12月以来の高水準となった。内閣府は消費者マインドの基調判断を、前月の「改善に向けた動きに足踏みがみられる」から「改善に向けた動きがみられる」に上方修正した。1年後の物価が上昇すると回答した世帯の比率は、11月の91.6%から90.8%に低下した。
消費者態度指数の改善は3カ月連続。12月は、同指数を構成する4つの指標(暮らし向き、収入の増え方、雇用環境、耐久消費財の買い方判断)全てが改善した。全指標が前月から改善するのは昨年7月以来。
基調判断は、昨年9月に「足踏みがみられる」に下方修正されて以降、3カ月ぶりの変更。上方修正は昨年7月以来となる。
1年度の物価見通しは、5%以上上昇するとの回答が11月の44.6%から41.4%に減った一方、2%以上5%未満上昇するとの回答は33.0%から35.1%に増えた。内閣府では「物価が急激に上昇する見方は落ち着いたが、一方でそれなりに上昇するとみられている」としている。
いつも通り、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。影を付けた部分は景気後退期となっています。

消費者態度指数は今後半年間の見通しについて質問するものであり、4項目の消費者意識指標から成っています。12月統計では、その4項目すべての指標において前月差で見て上昇しており、「暮らし向き」が+1.6ポイント上昇し35.7、「耐久消費財の買い時判断」も+1.3ポイント上昇し31.4、「収入の増え方」が+0.8ポイント上昇し39.6、「雇用環境」が+0.6ポイント上昇し41.9となっています。消費者態度指数は、8~9月統計では2か月連続で低下していましたが、10月統計から3か月連続の上昇です。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「改善に向けた動きに足踏みがみられる」から「改善に向けた動きがみられる」と、先月から上方修正しています。
繰り返しになりますが、8~9月に消費者態度指数が2か月連続して低下したのは、私は物価上昇に起因する部分が大きいと感じています。同じ8~9月の期間には、「物価が上昇する」と見込む割合が93.7%とピークとなっていて、「5%以上」を見込む割合も51.1%でピークでした。その後、物価上昇を見込む割合も、さらに、5%以上を見込む割合もじわじわと低下し、12月調査では物価上昇が90.8%、5%以上も41.4%と、特に高い物価上昇を見込む割合が大きく低下しています。日本経済研究センターのESPフォーキャストなどを見ても、先行き、物価上昇率は縮小していくと見込まれており、少なくとも物価との関係では、消費者態度指数に現れる消費者マインドは改善に向かうと私は考えています。
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