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2024年2月24日 (土)

今週の読書は経済書3冊ほか計7冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、楡井誠『マクロ経済動学』(有斐閣)は景気循環の原因を外生的なショックではなく、設備投資、物価、資産価格に求め、冪乗則を援用してマクロ経済の動学を解明しようと試みている学術書です。野崎道哉『マクロ経済学と地域経済分析』(三恵社)は、ポストケインジアンのモデルに産業連関表を組み合わせたモデルを用いたり、地域産業連関表を用いた分析を試みています。田代歩『消費税改革の評価』(関西学院大学出版会)は、著者の博士号請求論文を基に、消費税と世代間不平等などを分析しています。吉田修一『永遠と横道世之介』上下(毎日新聞出版)は横道世之介シリーズ三部作の完結編であり、39歳になった世之介の日常生活を描き出しています。小林泰三ほか『日本ホラー小説大賞《短編賞》集成1』(角川ホラー文庫)と吉岡暁ほか『日本ホラー小説大賞《短編賞》集成2』(角川ホラー文庫)では、角川書店が主催する日本ホラー小説大賞という新人文学賞の短編賞を集成したアンソロジーです。なお、飯田朔『「おりる」思想』 (集英社新書)も読んだのですが、余りにも出来が悪くて論評するに値しないと考え、取り上げませんでした。
ということで、今年の新刊書読書は1月に21冊、2月第3週までに18冊の後、今週ポストする7冊を合わせて46冊となります。順次、Facebookなどでシェアする予定です。

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まず、楡井誠『マクロ経済動学』(有斐閣)を読みました。著者は、東京大学の経済学者です。本書では、景気循環の原因を外生的なショック、例えば、戦争とか一次産品価格の上昇とか、海外要因や政策要因などを想定するのではなく、マクロ経済の内生的な同調行動を引き起こす冪乗則 power law を想定してマイクロな経済に基礎を置きつつ、マクロ経済の動学的な運動を解明しようと試みています。なお、出版社からしても明らかに学術書、そして、私の目から見てもかなり高度な学術書です。学部生には読みこなすには大きなムリがありますし、博士前期課程、というか、修士課程の大学院生でもややムリがあり、博士後期課程の院生でなければ十分な理解が得られない可能性があります。ハッキリいって、私も十分に理解できたかどうか自信はありません。ということで、本書は2部構成であり、序章と前半の3章で景気循環理論と対応する経済モデルを解説しています。本書が寄って立つのは、実物的景気循環モデル(RBC)に物価の粘着性を加えて、貨幣と実物の二分法の課程を緩めたニューケインジアン・モデルであり、景気変動の原因としては3つの震源、と本書では表現していますが、要するに経済変動、すなわち、設備投資、物価、資産価格を想定してます。繰り返しになりますが、海外要因や政策要因ではありません。そして、私が往々にして軽視する点のひとつですが、マクロ経済のミクロ的な基礎づけを考え、ミクロの経済行動が冪乗則によってマクロ的な期待値を集計できないようなエキゾチックな波動を考えています。本書では「波動」という言葉を使っていませんが、おそらく、波動なんだろうと私は受け止めています。後半では、景気変動の3つの「震源」、すなわち、設備投資、物価振動、資産価格についてモデルの拡張を含めて論じています。繰り返しになりますが、とても難解な学術書であり、私自身が十分に理解しているかどうか自信がないながら、3点だけ指摘しておきたいと思います。第1に、合理性についてややアドホックな前提が置かれている気がします。限定合理性を仮定するのか、それとも、消費CAPMのような超合理性を考えるのか、モデルによりやや一貫しないような気がしました。第2に、個別企業の価格付け行動に基づく相対価格の変化が基本的に考えられているようですが、デノミネーションのような貨幣単位の変更といった極端な例を持ち出すのではなく、一般物価水準がマクロ経済に及ぼす影響については、もう少し分析があってもいいのではないか、という気がします。第3に、資産価格については合理的・非合理的を問わず、バブルについての分析が欠けている気がします。バブルによるブームの発生とバブル崩壊による、あるいは、バブル崩壊後の金融危機による景気後退については、もう少し踏み込んだ分析ができないものか、という気がします。ただ、いずれにせよ、トップクラスの経済学の学術書です。おそらく、一般的なビジネスパーソンでは読みこなすのは難しい気がいますが、大学院生にはチャレンジしてほしいと思います。

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次に、野崎道哉『マクロ経済学と地域経済分析』(三恵社)を読みました。著者は、岐阜協立大学の研究者です。出版社は、私の知る限りで自費出版などで有名な会社なのですが、本書が自費出版であるかどうかは言及がなかったと思います。本書は2部構成なのですが、前半と後半はほとんど関連性なく別物と考えたほうがよさそうです。中身は完全な学術書です。一般的なビジネスパーソンには向かないと思いますし、エコノミストでも専門分野が違えば理解がはかどらない可能性があります。ということで、前半部ではマクロ経済分析に関してケインズ型のモデルを考え、理論的な分析を試みています。最初の第1章でケインジアン・モデルについて考え、特に乗数分析についての理論を考察しています。具体的には、ケインズやカレツキの乗数分析をレオンティエフ的な産業連関表に統合した宮澤先生のモデルを用いて、東日本大震災後の宿泊などのリゾート産業における消費減少のインパクトを計測しようと試みています。続いて、第2章で2国間の国際貿易を明示的に取り込んだ理論モデルを基に、動学方程式モデルを用いたシミュレーション分析を実施しています。第3章で急にポストケインジアン・モデルを用いだインフレ目標政策の分析をしています。均衡の安定性が論じられています。第4章では、開放経済体系におけるインフレ目標政策を用いた分析により、積極財政政策と金融政策ルールとしてのインフレ目標が両立することが示されています。第5章では、ポストケインジアンのニューコンセンサス・マクロ経済学(NCM)と呼ばれるISSUE曲線はあるが、LM曲線を必要としない経済学を用いた分析を行っています。特に、バーナンキ教授等が行ったファイナンシャル・アクセラレーター・モデルの含意については、ポストケインジアン飲み方から批判的な検討が加えられています。後半部では産業連関表の作成や利用が中心となります。特に、大垣市の産業連関表の作成にページが割かれています。本書のタイトルの後半部分といえます。ただ、私はこの後半についてはなかなか理解がはかどりませんでした。また、第7章の表7.1と表7.2が10ページ超に渡って、老眼に私には苦しい大きさの数字で延々とデータ試算結果が示されています。これは、紙の印刷物でお示しいただくよりも表計算ファイルのフォーマットでダウンロードできる方が有益ではないか、という気がしました。実は、私も役所の研究所でAPECの貿易自由化政策の推計のために "Protection Data Calculation for Quantitative Analysis of MAPA" という論文を書いて関税率データを計算したことがあります。私の場合は、Excelファイルでダウンロードできるように、すでに25年以上の前の研究成果ながら、今でも国立国会図書館のサイトに収録されています。ご参考まで。

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次に、田代歩『消費税改革の評価』(関西学院大学出版会)を読みました。著者は、札幌学院大学の研究者であり、本書は関西学院大学に提出した博士論文を基にしています。タイトル通りに消費税に関する経済分析なのですが、序章と終章を除いて4章構成であり、世代間の受益と負担の公平性、所得階級別の軽減税率の効果負担の分析、同じく、年齢階級別の軽減税率の効果負担の分析、そして、年齢階級別の限界的税制改革のシミュレーション分析を主たるテーマにしています。博士論文ですので、極めて詳細なデータの出典やモデル構築時の詳細情報が含まれていて、とても参考になります。私自身は大学院教育を受けておらず、もちろん、博士号も取得していないので、こういった大学院生の博士論文を指導する機会はないものと考えますが、何人か博士論文審査の副査を務めた経験もあり、単なる経済学的な興味だけではなく、教育的な経験にもなるのではないか、と考えて読んでみました。まず、博士論文ですから非常に手堅く異論の出ない通説に寄って立った論文だという印象を受けました。例えば、財政に関して世代間の受益と負担の公平性に関しては世代重複(OLG)モデルを用いて分析し、通例、若年者が負担超過で高齢者が受益超過となります。ある意味で、シルバー民主主義の結果なのですが、どうして若年世代、あるいは、極端な場合には、まだ生まれていなくて、これから生まれる将来世代の負担が超過となるかといえば、財政赤字がリカード的に将来返済されると考えるからです。従って、本書のコンテクストでいえば、消費税率が低くて財政赤字が積み上がるような税率であれば、将来負担が大きくなって若年世代や将来世代の負担が、高齢世代よりも大きくなるわけです。逆にいえば、消費税率を高率にして財政赤字が積み上がらない、あるいは、財政赤字が解消されるような税率にすれば世代間の不公平は軽減ないし解消されます。本書では、この世代間不平等を解消する消費税率を24%程度と試算しています。既存研究からしてもいい線だと思います。ただ、ここは経済学の規範性を無視した議論であって、消費税率が24%とかきりよく25%となれば、マクロ経済がどうなるか、といった議論はなされていません。まあ、世代間不公平・不平等を解消するのと景気を維持するのとの間で、どちらにプライオリティを置くかの議論は別なわけです。あと、経済学ですので、評価関数によって差が生じます。すなわち、本書でも、低所得者層に配慮するロールズ的な厚生関数を前提にするのか、そういった違いを考慮せず同じウェイトで考えるベンサム的な厚生関数なのか、で政策評価が異なる例がいくつか示されています。そもそも、アローの不可能性定理によって推移律が成り立たないことから社会的な厚生関数を考えることがどこまで意味あるかは疑問なのですが、本書のような純粋に学術的、あるいは、教育的な経済学を考える場合には意味あるといえます。ちなみに、軽く想像される通り、低所得者層に配慮するロールズ的な厚生関数を前提とすれば、2019年10月から日本でも導入された軽減税率は意味がある、という結論となります。最後に、本書で興味深い点のひとつは、シミュレーションを多用している点です。基礎的で手堅いモデル設定に対して、シミュレーションを用いるのは、これからさらに注目されるかもしれません。

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次に、吉田修一『永遠と横道世之介』上下(毎日新聞出版)を読みました。著者は、日本でももっとも売れていて有名な小説家の1人ではないかと思います。本書は横道世之介シリーズ第3作であり、完結と銘打たれています。一応おさらいですが、シリーズ最初の『横道世之介』では、世之介が長崎から大学進学のために上京した1987年にスタートし、ほぼほぼ大学1年生の時の12か月をカバーしています。本書でも登場する社長令嬢で言葉遣いまでフツーと違う与謝野祥子との恋が私には印象的でした。最後に、16年後の現在である2003年から周囲の人々が世之介を振り返る構成となっています。私は小説を読んだのはもちろん、映画も見ました。2作目の『続 横道世之介』あるいは文庫化されて改題された『おかえり 横道世之介』では大学を卒業したものの、バブル最末期の売り手市場に乗り遅れて、パチプロ、というか、フリーターをしている24才の世之介の1993年4月からの12か月を対象としています。世之介は小岩出身のシングルマザーの日吉桜子と付き合って、世之介が知らないうちに勝手に投稿された写真コンテストで作品が「全量」と評価されて、プロカメラマンに成長していきます。そして、この続編でも27年後の2020年の東京オリンピック・パラリンピックのトピックが最後に挿入されています。今週読んだ第3作では世之介は38才から39才のやっぱり12か月です。もちろん、カメラマンの活動を続ける一方で、「ドーミー吉祥寺の南」なる下宿を所有するあけみと暮らしています。あけみは事実婚のパートナーで、芸者をしていたあけみの祖母が残した下宿を切り盛りしています。学生下宿というわけでもなく、世之介よりさらに年長の勤め人男性、書店員の女性、もちろん学生もいます。そこにさらに知り合いの中学教師の倅で、引きこもり男子高校生まで加わります。その9月から翌年の8月までの12か月が対象です。先輩カメラマンが壁に突き当たって活動を事実上停止したり、後輩カメラマンが子供を授かって結婚したり、緩いながらもいろいろな出来事があります。でも、世之介がいつも考えているのは事実婚のパートナーあけみではなく、付き合った時点で余命宣告されていた最愛の二千花であり、世之介は二千花と過ごした日々を何度も何度も回想します。そして、この作品でも15年後が挿入されています。表紙画像に見られるように、「横道世之介」シリーズ堂々の完結編とうたわれています。三部作の完結のようです。ただ、私は最初の『横道世之介』も読み終えた段階では、これで続編はないものと思っていました。今度こそホントに終わるのでしょうか。もう、世之介はアラフォーに達していますので、決して青春物語ではありませんし、初編と続編のように世之介は成長を見せるわけでもありません。でも、ほのぼのといい物語です。多くの読者にオススメします。

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次に、小林泰三ほか『日本ホラー小説大賞《短編賞》集成1』吉岡暁ほか『日本ホラー小説大賞《短編賞》集成2』(角川ホラー文庫)を読みました。著者は、ホラー小説家がズラリと名を並べています。まずおさらいで、私が調べたところ、現時点では「横溝正史ミステリ&ホラー大賞」という文学賞があるのですが、これは「横溝正史ミステリ大賞(第38回まで)」と「日本ホラー小説大賞(第25回まで)」を2019年に統合したもので、角川書店の新人文学賞となっています。2019年が第29回ですから、回数は前者の「横溝正史ミステリ大賞」を引き継いでいます。そして、後者の「日本ホラー小説大賞」には、大賞、読者賞、優秀賞といった各賞のほかに、創設された1994年から2011年までは、大賞のほかに長編賞と短編賞に分かれていました。その短編賞を集成したのがこの2冊です。11編の短編が受賞順に収録されています。ただ、1年で2作の受賞作があったり、あるいは逆に受賞作がなかったり、はたまた、受賞したものの、この2冊には収録されていない短編があったりします。私が調べた範囲では、2001年吉永達彦「古川」と2010年伴名練「少女禁区」は収録されていません。理由は不明です。以下、ものすごく長くなりますが、収録順にあらすじです。なお、タイトルの後のカッコ内は受賞年です。まず、『日本ホラー小説大賞《短編賞》集成1』から、小林泰三「玩具修理者」(1995年)では、子守していたときに弟を死なせてしまった姉が、何でもおもちゃを修理してくれる玩具修理者のところに死体を持込みます。回想する形の会話でストーリーが進みますが、ラストが秀逸です。沙藤一樹「D-ブリッジ・テープ」(1997年)では、横浜ベイブリッジにゴミとともに捨てられた少年の死体が、今はもう見ない60分テープとともに発見されます。そのテープに収録されていた質疑応答のような会話でストーリーが進みます。節ごとにこの会話と聞いている人たちの感想が交互に盛り込まれています。グロいです。残酷です。希望や救済といったものが微塵も見られません。かなりの読解力を必要とします。朱川湊人「白い部屋で月の歌を」(2003年)では、除霊のアシスタントを務める少年のジュンが主人公で、様々な霊魂を自分の体内に受け入れています。除霊している中で、ジュンは男に刺され魂が抜けた女子に恋してしまい、霊魂を閉じ込める白い部屋から月を眺めたりするわけです。しかし、ジュンの庇護者であり金儲け主義の霊媒師はこの恋を許してくれません。最初が幻想的で、ラストはジュン正体が明らかになってとってもびっくりします。森山東「お見世出し」(2004年)のタイトルは花街で修業を積んできた少女が舞妓としてデビューするための儀式を指します。主人公である綾乃のお見世出しの日は、お盆前の8月8日に決められて、33年前に自殺した幸恵という少女の霊を呼び出していっしょにお見世出しをすることになってしまいます。あせごのまん「余は如何にして服部ヒロシとなりしか」(2005年)では、主人公の鍵和田は同級生の服部の姉に連れられて、古い家屋を訪れたところ、文化祭のセットで作ったはりぼての風呂があり、お湯も張らずにいっしょにお風呂に入ったりします。なんとも、不条理、シュールで不可解なホラー小説であり、それはそれで背筋が寒くなります。タイトルの由来は読んでみてのお楽しみです。次に、『日本ホラー小説大賞《短編賞》集成2』から、吉岡暁「サンマイ崩れ」(2006年)のタイトルの「サイマイ」とは、三昧から派生していて方言でお墓のことです。舞台は和歌山県であり、熊野本宮に近い山村が大水害で多くの死傷者を出したと聞き、主人公の男性は精神科の病院を抜け出し、奇妙な消防団員2人と老人といっしょに熊野古道を進み、崖崩れで崩壊した隣村の墓地にたどりつきます。ラストに驚愕します。曽根圭介「鼻」(2007年)では、ややSF的に舞台は鼻の形で人々が二分され、「ブタ」と呼ばれる人たちが「テング」を呼ばれる人たちを差別して、その昔の「民族浄化」のような形で殺戮すらしていたりします。平文の医師が主人公の部分とゴシックの刑事が主人公の部分が交互に現れ、差別に批判的な医師は被差別者を救うために違法な手術をすることを決意する一方で、刑事は少女の行方不明事件の捜査中に、かつて自分が通り魔として傷つけた男に出会ったりします。雀野日名子「トンコ」(2008年)のタイトルであるトンコは、主人公ともいえるメスの子豚の愛称です。高速道路でトラックが横転事故を起こし、搬送中のブタの一部が行方不明になり、そのうちの1匹がトンコなわけです。トンコは山を下って用水路で犬をまいて、海にまで達するうちにいろいろなものに遭遇するわけです。田辺青蛙「生き屏風」(2008年)では、酒屋の主人の死んだ奥さんがあの世から帰ってきて屏風に取り憑いてしまいます。主人は仕方ないので、戻ってきてしまった奥さんの退屈を紛らすため、県境で魔や疫病の侵入から集落を守ってる妖鬼を選んで、酒屋に連れてきて話し相手をさせます。その妖鬼の親の鬼やいろんな話がそもそもホラーなのですが、最後に、屏風の奥さんが海に流して欲しいといい出してちょっとびっくりのラストになります。朱雀門出「寅淡語怪録」(2009年)では、夫婦で町会館の清掃奉仕に来た中年男性の主人公が、その町会館から地域の怪異話を収録している「寅淡語怪録」を持ち帰ります。読み進むうちに、収録されていた怪談の中に現れるぼうがんこぞうを100均ショップで見かけたり、勝負がつかないので組手を解くと3人いたという3人相撲などの怪談と同じ怪異を体験してしまいます。さらに、図書館の書庫に所蔵されている同様の100巻を借り出して、妻とともに怪異のあった場所を訪れたりします。最後に、国広正人「穴らしきものに入る」(2011年)では、主人公の男性は、洗車をしていた際に水道のホースに入って自動車の運転席側から助手席側に移動してしまい、それ以降、いろんな穴を通り抜けることを試みます。難易度でABCにランク付けしたりして一種の冒険を楽しんでいますが、電気の壁コンセントに入ったところで万事休してしまいます。ということで、何といっても新人文学賞ながら「日本ホラー小説大賞」の短編賞を受賞した短編のアンソロジーです。とてもレベルの高いホラー短編が集められています。私の趣味に基づけば、表紙デザインは今年2024年1月早々にレビューした「現代ホラー小説傑作集」の『影牢』や『七つのカップ』に比べてチト落ちるような気がしますが、デザインだけの問題で中身は充実しています。

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