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2024年3月 7日 (木)

2次QEで成長率は上方修正され2023年10-12月期はプラス成長か?

今週の法人企業統計をはじめとして、必要な統計がほぼ出そろって、明週3月11日に昨年2023年10~12月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。ということで、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下のテーブルの通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、GDP統計の期間である昨年2023年10~12月期ではなく、足元の1~3月期から先行きの景気動向を重視して拾おうとしています。ただ、いつもの通りの2次QE予想ですので、法人企業統計オマケの扱いも少なくありません。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE▲0.1%
(▲0.4%)
n.a.
日本総研+0.4%
(+1.5%)
2023年10~12月期の実質GDP(1次QE)は、設備投資が大幅に上方改定される見込み。この結果、成長率は前期比年率+1.5%(前期比+0.4%)と、1次QE(前期比年率▲0.4%、前期比▲0.1%)のマイナス成長から上方改定されると予想。
大和総研+0.4%
(+1.7%)
2023年10-12月期GDP2次速報(QE)(3月11日公表予定)では実質GDP成長率が前期比年率+1.7%と、1次速報(同▲0.4%)から上方修正されると予想する。主因は設備投資(前期比+1.9%)であり、伸び率は同+2.0%pt上方修正される見込みだ。民間在庫は前期比寄与度+0.1%ptへと上方修正され、1次速報段階で仮置きされていた仕掛品在庫や原材料在庫が寄与するだろう。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+0.2%
(+0.7%)
1~3月期も経済活動は停滞が続き、現時点でゼロ成長を予測している。サービス輸出の反動減が見込まれることに加え、欧米を中心とした海外経済の減速が外需の重石になるほか、国内で生じた一時的な要因による下押しも重なることが経済活動を抑制するだろう。
(略)
内需についても低調な推移が続く見通しだ。当面の個人消費は、株価上昇等に伴う消費者マインドの改善が好材料となるも、実質賃金の前年比マイナス幅の縮小ペースが緩やかな中で、基調として力強い回復は期待できないだろう(消費者物価指数の前年比については、2月に政府の電気・ガス代価格抑制策による押し下げ寄与が剥落することで+3%近傍まで再び上昇率が高まるとみられる点に留意が必要である)。1月の小売業販売(みずほリサーチ&テクノロジーズによる実質ベースの季節調整値)は10~12月平均対比で▲1.2%と引き続き弱含んでいるほか、JCB/ナウキャスト「JCB 消費 NOW」の1月の消費総合指数(みずほリサーチ&テクノロジーズによる実質ベースの季節調整値)をみても10~12月平均対比で▲0.7%と減少している。後述の一部自動車メーカーの生産停止等による一時的な影響も含まれており、その影響を除いてみれば物価上昇率の鈍化を受けて衣料品や食料品等を中心に持ち直しの動きが出ているものの、全体としてみれば1~3月期の個人消費は低迷が続くとみている。設備投資も、前述した既往の資材価格高騰や供給制約が引き続き下押し要因となることで増加ペースが抑制されるだろう。先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)をみると、10~12月期は前期比で▲1.0%と3期連続で減少しており、製造業を中心に機械投資が伸び悩んでいることを示唆している。資材価格の高騰一服や半導体関連産業の在庫調整の進展等を背景に、先行きの設備投資は回復基調で推移するとみているが、1~3月期時点では大幅な増加は期待しにくいだろう。
ニッセイ基礎研+0.3%
(+1.1%)
3/4公表予定の23年10-12月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.3%(前期比年率1.1%)となり、1次速報の前期比▲0.1%(前期比年率▲0.4%)から上方修正されると予想する。
第一生命経済研+0.2%
(+0.9%)
24年1-3月期にマイナス成長が予想されている点も懸念される。23年10-12月期のGDPを一時的に押し上げたサービス輸出において、大口要因の剥落が生じることが下押し要因となることに加え、大手自動車メーカーによる大幅減産も、関連産業を巻き込んで悪影響を与えるだろう。内需の回復が限定的なものにとどまるなか、こうした下押し要因をカバーすることは難しい。23年10-12月期は2次速報でプラス成長転化が予想されるが、24年1-3月期は再びマイナス成長となる可能性が高い。
伊藤忠総研+0.5%
(+1.8%)
2024年1~3月期については、再び前期比でマイナス成長となる可能性はあるが、そのマイナス幅は10~12月月期のプラス幅を上回るものではないとみられ、景気が回復基調を取り戻しつつあるという判断は変わらない。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.4%
(+1.4%)
3月11日に内閣府から公表される2023年10~12月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.3%(前期比年率換算+1.0%)と1次速報値の前期比-0.1%(年率換算-0.4%)から上方修正され、プラス成長に転じる見込みである。もっとも、個人消費が弱含んでいるなど基調として内需の低迷は続いており、景気が足踏み状態にあることに変わりはない。
三菱総研+0.4%
(+1.8%)
2023年10-12月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.4%(年率+1.8%)と、1次速報値(同▲0.1%(年率▲0.4%))から上方修正を予測する。
明治安田総研+0.2%
(+0.9%)
先行きに関しては、物価のピークアウトと今年度を上回る春闘の賃上げに伴い、実質賃金が2024年後半以降プラス転換することが、個人消費を下支えするとみる。もっとも、実質賃金がプラス圏に浮上しても、平均的な伸びは1%を大きく下回って推移するとみられ、個人消費の回復ペースは緩やかなものにとどまると予想する。設備投資は、足元の各種先行指標は冴えないものの、デジタル・脱炭素関連の投資は多少の業績の振れにかかわらず継続的な支出が必要な分野であることから、向こう1~2年というタームでは、均せば回復傾向が続くと予想する。輸出は、堅調なインバウンド需要が一定程度下支えになる一方、中国景気の停滞や欧米景気の減速に伴い、しばらくは低迷が予想される。これらを踏まえると、景気は全体として力強さを欠く推移が続く可能性が高い。

見れば明らかなように、2023年10~12月期のGDP統計速報1次QEはマイナス成長だったのですが、2次QEでは上方改定されプラス成長となる見込みが示されています。その要因は今週月曜日の3月4日に公表された法人企業統計の示された設備投資であり、季節調整済みの系列の前期比年率で見て、1次QEの▲0.4%減から、2次QEでは+1%を上回るプラス成長に上方修正されると考えているシンクタンクが少なくありません。ただ、今年2024年1~3月期についてはマイナス成長を見込むインクタンクが多くなっています。私の直感では昨年2023年10~12月期の成長率を高く見込んでいるシンクタンクほど、今年2024年1~3月期の成長率を反動もあって低く見ているように受け止めています。1~3月期の特記すべき動きとして、能登半島地震の影響は私自身も小さいと感じていますが、ダイハツの操業停止は下請けも含めて一定のインパクトあった可能性が否定できません。加えて、春闘前の賃金水準でインフレには追いつかず、特に、2月には政府の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」が終了し、全国ベースで▲0.5%近くあった物価押下げ効果が剥落します。ですので、今週3月5日に公表された東京都区部の2月中旬の消費者物価上昇率は、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率で見て、1月の+1.8%から2月には+2.6%に再加速しています。私も1~3月期の実質成長率はゼロ近傍と見込んでいますし、引き続き、低調な経済が続くと考えるべきです。ただ、物は考えよう、というか、何というか、伊藤忠総研のように、10~12月期のプラス成長を超えるようなマイナス成長ではないので、景気回復は継続している、という見方も成り立ちます。いずれにせよ、春以降の景気動向には春闘での賃上げがどうなるかにかかってくる可能性が大きいと私は考えています。
最後に、みずほリサーチ&テクノロジーズのリポートから 2023年10~12月期GDP(2次速報)予測 のグラフを引用すると以下の通りです。

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