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2024年3月28日 (木)

3月調査の日銀短観予想やいかに?

来週4月1日の公表を控えて、シンクタンクから3月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業/非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画は来年度2024年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、可能な範囲で、先行きマインドに注目しました。短観では先行きの業況判断なども調査していますが、シンクタンクにより少し見方が異なっています。その意味で注目です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
12月調査 (最近)+12
+30
<n.a.>
n.a.
日本総研+10
+33
<+3.5%>
先行き(2024年6月調査)は、全規模・全産業で12月調査から▲1%ポイントの小幅な低下を予想。製造業では、自動車の生産回復が見込まれることから、関連業種を中心にDIは上昇する見通し。非製造業のDIは小幅に低下するものの、高水準で推移する見通し。ただし、サービス業を中心に、人件費の増加が収益を下押しする可能性には注意が必要。
大和総研+11
+34
<+2.2%>
3月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(先行き)は+14%pt(最近からの変化幅: +3%pt)、 同非製造業は+33%pt(同: ▲1%pt)を予想する。
大企業製造業では、「自動車」の業況判断DI(先行き)が上昇するとみている。自動車メーカーの一部工場の稼働再開によって自動車生産の回復が見込まれる。加えて、自動車生産の回復は「鉄鋼」などの関連業種の業況判断DI(先行き)を押し上げるとみている。
大企業非製造業については、「小売」や「対個人サービス」の業況判断DI(先行き)の低下を予想する。インバウンド消費は増加が続くと見込まれるが、物価高による消費への悪影響に対する警戒感が強まるとみられる。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+11
+32
<+2.5%>
大企業・製造業の業況判断DIの先行きは、2ポイントの改善を予測する。中国経済や高金利が続く欧米経済の減速懸念が、景況感の下押し要因となるだろう。一方で、調整局面にあった半導体市場は2024年度から徐々に持ち直していくと想定されることに加え、企業が直面するコスト上昇圧力についても先行きは緩和していくと見込まれる。また、4~6月期には大手自動車メーカーの生産が正常化に向かうとみられることも、製造業の景況感の改善要因になるだろう。
大企業・非製造業の業況判断DIの先行きも改善を予測する。春闘賃上げ率は日本労働組合総連合会(連合)の第1回集計時点で+5.28%と、昨年同期集計(+3.80%)対比で大幅に高まっている。例年、第2回回答集計以降の賃上げ率は鈍化していく傾向にあるが、昨年に比べて高い伸びで着地することはほぼ確実である。それを受けて、実質賃金は2024年の後半にかけて前年比プラスに転じるとみられる。2024年6月に予定されている所得税・個人住民税の定額減税も追い風となり、家計の所得環境は徐々に改善し、個人消費も回復に転じることが期待される。こうした要因を背景に、非製造業の先行き見通しも改善すると予測する。
ニッセイ基礎研+9
+33
<+2.2%>
先行きの景況感は方向が分かれそうだ。製造業では、自動車生産の回復見通し等が追い風となり、持ち直しが示される可能性が高い。一方、非製造業では、物価高に伴う消費の腰折れや人手不足の深刻化などへの警戒感が台頭し、先行きに対する慎重な見方が示されるものの、今春闘での賃上げ拡大を通じた消費回復期待が下支えになると見ている。
第一生命経済研+10
+33
<大企業製造業+5.4%>
大企業・製造業の業況DIは、前回比▲2ポイントの悪化を予想する。これは個別企業の不祥事が原因であり、一過性のものだろう。むしろ、大企業・非製造業では、高水準でのDI改善が見込まれることに注目だ。
三菱総研+9
+33
<+3.4%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業+10%ポイント(3月時点から+1%ポイント上昇)、非製造業は+33%ポイント(同横ばい)を予測する。製造業は、自動車の生産・出荷が順次再開されていることから、自動車関連業種を中心に持ち直すとみる。非製造業では、24年春闘で実現した前年を大幅に上回る賃上げ率が、順次家計の給与収入の増加に反映されることで、消費関連業種を中心に高水準の業況が維持されるだろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+11
+33
<大企業全産業+2.4%>
大企業製造業の業況判断DI(最近)は、前回調査から2ポイント悪化の11と予測する。一部自動車メーカーの生産停止や能登半島地震の影響により、素材業種では鉄鋼や非鉄金属、窯業・土石、加工業種では自動車を中心に、景況感は悪化しよう。先行きは、種々の下押し要因の解消により、3ポイント改善の14と前向きな見通しになると予測する。
大企業非製造業の業況判断DI(最近)は、前回調査から1ポイント改善の33と予測する。景況感は歴史的な水準まで高まっており、さらなる改善の余地は小さいものの、需要の回復が続く中で、対個人サービスや宿泊・飲食業等を中心に改善が続こう。先行きは、物価上昇による需要減やコスト増、人手不足の深刻化による悪影響等が懸念され、4ポイント悪化の29と慎重な見通しになると予測する。
農林中金総研+6
+30
<+1.2%>
先行きに関しては、世界経済の減速傾向はしばらく続くほか、24年春闘は大企業を中心に好調な結果であるとはいえ、物価高止まりの影響はまだ残ることが見込まれ、国内需要も足踏みが続くだろう。ただし、波及効果が相対的に大きい自動車の生産回復などが見込まれ、製造業では持ち直しが期待される。以上から、製造業では大企業が8、中小企業が▲1と、今回予測からそれぞれ+2ポイント、+3ポイントの改善予想、非製造業では大企業が26、中小企業は10と、今回予測からともに▲4 ポイントの悪化となるだろう。
明治安田総研+10
+34
<+1.7%>
6月の先行きDIに関しては、大企業・製造業は2ポイント改善の+12、中小企業・製造業も2ポイント改善の±0と予想する。中国景気をはじめとする海外景気の動向が不安視されるなかではあるが、生産が停止していた自動車工場では、2 月中旬から段階的に生産が再開されている。すそ野の広い自動車産業の回復などが、業況改善に寄与するとみる。

見ての通りであり、3月調査の日銀短観業況判断DIは製造業では悪化、非製造業では改善と方向性が分かれる結果が予想されています。元旦に発災した能登半島地震については、製造業・非製造業ともにネガティブな影響であることに変わりありませんが、製造業に大きなマイナス材料となっているのがダイハツの品質不正による生産停止の影響です。自動車工業は裾野が広いだけに、生産停止の影響が広範に及ぶ結果が示される可能性が高いと受け止めています。加えて、中国経済の停滞も輸出企業のマインドには悪影響を及ぼしていると考えるべきです。他方、非製造業では物価上昇や人手不足の影響は現れているとはいえ、インバウンド消費の順調な回復や株価の上昇による資産効果の恩恵が考えられます。ただ、製造業のマインドの悪化も一時的なものにとどまり、先行きの業況判断は回復を示すと考えられています。
設備投資計画を見ると、例年は3月調査でかなり低い水準から始まるのが日銀短観の統計としてのクセになっていて、前年割れとなるケースも少なくないのですが、昨年度に続いて、今年度もプラスから始まると見込まれています。すなわち、企業収益が改善する中で未実現の2023年度投資の先送りに加えて、人口減少社会に向かって省力化投資の増加が見込まれます。さらに、カーボンニュートラルを目指したグリーントランスフォーメーション(GX)やデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた投資がいよいよ本格化するという期待も高まっています。日本企業が大きく出遅れていた分野だけに、設備投資の本格化によって世界標準に追いつけるかどうかも試されています。
最後に、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートから 業況判断DIの推移 のグラフを引用すると以下の通りです。

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