帝国データバンクによる「『マイナス金利解除』と金利上昇に伴う企業の借入利息負担試算」から日銀金融引締めを考える
先週、日銀が異次元緩和の終了と金融引締めを決定しましたが、3月19日、帝国データバンクから「『マイナス金利解除』と金利上昇に伴う企業の借入利息負担試算」と題するリポートが明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。やや粗っぽい計算ながら、借入金利が1%ポイント上昇すれば企業の7%が赤字に転落して、1社当たりの平均で利払いは年+270万円増加し、経常利益は▲9%圧縮される、と試算しています。
まず、上のグラフはリポートから 利息負担の増加による経常利益への影響 を引用しています。+0.5%ポイントから始まって、あとは+1%ポイント刻みで、+4%ポイント上昇まで試算してあります。当然ながら、金利が引き上げられれば利益が減少するわけで、当然の結果が示されています。リポートによれば、もともと経常利益が赤字である企業は22.1%に上りますから、もしも、ベースラインで想定されているように、+1.0%ポイントの金利上昇があればほぼ30%近い企業が赤字を記録する可能性があります。
続いて、上のグラフはリポートから 金利上昇による影響 を引用しています。ただし、コチラは昨年2023年1月時点での調査結果です。これまた当然ながら、「マイナスの影響が大きい」とする企業が40%と多数を占めています。ただし、帝国データバンクでは、今年1~3月期の足元で借換えなどの場面においてすでに足元の貸出金利は上がっている、と回答している金融機関もあることなどから、「『マイナスの影響』を実感する企業はさらに増加している可能性がある。」と指摘しています。
あまりにも当然ながら、企業経営は金融引締めにより悪化するわけです。私も授業などで金融引締めにより賃金上昇率も物価上昇率はも低下する、とオーソドックスな経済学を教えています。日銀の金融引締めは、当然に、企業経営にも、賃上げにも、ネガな影響を及ぼすことは忘れるべきではありません。
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