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2024年4月26日 (金)

日銀金融政策の現状維持と「展望リポートの見通しをどう考えるか?

昨日から日銀で開催されていた製作委員会・金融政策決定会合は現状維持を全員一致で決定し、「展望リポート」を明らかにして閉会しました。まず、「展望リポート」にある2023~2026年度の政策委員の体制見通しのテーブルを引用すると以下の通りです。なお、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。
正確な計数は自己責任で、引用元である日銀の「展望リポート」からお願いします。

     
  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
(参考)
消費者物価指数
(除く生鮮食品・エネルギー)
 2023年度+1.3 ~ +1.4
<+1.3>
+2.8+3.9
 1月時点の見通し+1.6 ~ +1.9
<+1.8>
+2.8 ~ +2.9
< +2.8>
+3.7 ~ +3.9
< +3.8>
 2024年度+0.7 ~ +1.0
<+0.8>
+2.6 ~ +3.0
<+2.8>
+1.7 ~ +2.1
<+1.9>
 1月時点の見通し+1.0 ~ +1.2
<+1.2>
+2.2 ~ +2.5
<+2.4>
+1.6 ~ +2.1
<+1.9>
 2025年度+0.8 ~ +1.1
<+1.0>
+1.7 ~ +2.1
<+1.9>
+1.8 ~ +2.0
<+1.9>
 1月時点の見通し+1.0 ~ +1.2
<+1.0>
+1.6 ~ +1.9
<+1.8>
+1.8 ~ +2.0
<+1.9>
 2026年度+0.8 ~ +1.0
<+1.0>
+1.6 ~ +2.0
<+1.9>
+1.9 ~ +2.1
<+2.1>

ということで、経済の成長率などの見通しについては、基本的に海外経済はソフトランディングを中心とするシナリオで、金融環境も緩和的であるとし、「所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続ける」と見込んでいます。なお、潜在成長率については脚注があり、「0%台後半」と推計しています。他方で、物価見通しについては、今年度の2024年度には日銀物価目標である+2%を上回って2%代後半となるものの、その後、「2025年度と2026年度は、概ね2%程度で推移する」と予想しています。成長と物価の関係では、先行き需給ギャップは見通し期間終盤にかけてプラス幅を緩やかに拡大すると予想していますが、女性や高齢者の労働参加の増加ペースが鈍化していることから、労働需給はマクロ経済の需給ギャップ以上に引き締まるため、コスト面で人件費上昇圧力が、また、支出面では家計の購買力の拡大に寄与する、と見込んでいます。
先行きリスクとしては経済や成長で3点、物価で2点上げています。すなわち、経済面では海外経済の動向、輸入物価の動向、そして、カーボンニュートラルやデジタル化などが経済構造に中長期的にどのような影響を及ぼすか、という点です。物価リスクについては、企業の陳羣や価格設定行動、特に、賃上げコストの販売価格への転嫁、そして、為替や国際商品市況の動向と輸入物価への波及です。

いくつかのメディアでは、日銀が追加の金融引締めを見送ったことについて、金融市場で円安が進んだことから批判的な見方を示しているものもあります。取り急ぎ、植田総裁の記者会見の前にポストしておきます。

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