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2024年4月 5日 (金)

2か月連続で基調判断が下方修正された2月の景気動向指数をどう見るか?

本日、内閣府から2月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数は前月から+2.3ポイント上昇の111.8を示し、CI一致指数は▲1.2ポイント下降の110.9を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから報道を引用すると以下の通りです。

景気一致指数2カ月連続でマイナス、判断「下方への局面変化」に下げ
内閣府が5日公表した2月の景気動向指数(速報値、2020年=100)は、指標となる一致指数が前月比1.2ポイント低下の110.9と2カ月連続で低下した。
工場稼働停止の影響で自動車・自動車部品の生産が減少したため、輸出数量指数や耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数が大幅に悪化したことが影響した。
内閣府は自動車関連の生産停止の影響について「一時的」とみているが、同指標から一定の算出式で決まる基調判断は、従来の「足踏みを示している」から「下方への局面変化を示している」に下方修正した。判断引き下げは2カ月連続で、連続の引き下げは2012年9月、10月以来。
先行指数は前月比2.3ポイント上昇の111.8と2カ月ぶりに上昇した。鉱工業用生産財や最終需要財の在庫率改善や、消費者態度指数、東証株価指数などが押し上げに寄与した。

包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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2月統計のCI一致指数については、2か月ぶ連続の下降となりました。3か月後方移動平均の前月差でも▲1.33ポイントの下降となり、加えて、7か月後方移動平均でも▲0.60ポイント下降と、当月、3か月と7か月の両方の後方移動平均とも前月差がマイナスを記録しています。引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では基調判断を2月連続で下方修正しています。すなわち、昨年2023年10月の「改善」から、今年2024年1月には「足踏み」に、さらに、本日公表の2月統計では「下方への局面変化」と、明確に1ノッチ下方修正しました。もっとも、私の直感ながら、自動車の品質不正問題による生産や出荷の停止といった経済外要因の影響が大きく、基調判断が連続で下方修正されたからといって、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そうすぐには景気後退局面入りはしない可能性が高い、と考えています。もちろん、景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありません。
CI一致指数を構成する系列を前月差に対する寄与度に従って詳しく見ると、輸出数量指数も▲0.57ポイント、耐久消費財出荷指数▲0.51ポイント、投資財出荷指数(除輸送機械)▲0.35ポイント、などで大きなマイナス寄与を示しています。ただし、他方で、商業販売額(小売業)(前年同月比)が+0.32ポイント、商業販売額(卸売業)(前年同月比)も+0.21ポイント、などがプラスの寄与を示しています。ただ、小売業と卸売業の商業販売額は内需だけではなく、インバウンド消費にも支えられている可能性があります。

最後に、今年に入ってからの景気動向指数の動きを見ると、一致指数が明確に落ち込んでいて、基調判断の2か月連続の下方改定もこれを反映しているわけですが、他方で、先行指数は上昇していて、やや景気判断がビミョーな段階に差しかかっている点は確かです。楽観的な見方をする私でも、少し考えるべきタイミングかという気はしています。

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