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2024年4月24日 (水)

8か月連続で+2%台の上昇を続ける3月の企業向けサービス価格指数(SPPI)をどう見るか?

本日、日銀から3月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は前月からジワリと加速して+2.3%を記録し、変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIについても同様に+2.2%の上昇を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格、3月2.3%上昇 人件費転嫁続く
日銀が24日発表した3月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は111.0と、前年同月比2.3%上昇した。伸び率は2月(2.2%上昇)から0.1ポイント拡大し、8カ月連続の2%台となった。土木建築や機械修理などで人件費の上昇分を価格に反映する動きが続いている。企業収益が堅調で広告の増加も全体の押し上げに寄与した。
同日に発表した23年度ベースの指数は109.7と、前年度比2.1%上昇した。消費税の影響を除くと1991年度以来、32年ぶりの高い伸びとなった。
企業向けサービス価格指数は企業間で取引されるサービスの価格動向を表す。例えば貨物輸送代金や、IT(情報技術)サービス料などで構成される。モノの価格の動きを示す企業物価指数とともに今後の消費者物価指数(CPI)に影響を与える。
調査対象となる146品目のうち、価格が前年同月比で3月に上昇したのは108品目、下落は22品目だった。
内訳をみると、宿泊サービスは前年同月比28.0%上昇した。インバウンド(訪日外国人)を含む人流回復の影響で価格が押し上げられた。情報通信(2.3%上昇)や土木建築サービス(8.1%上昇)などの分野では人件費を転嫁する動きが続いている。
広告は前年同月比2.2%上昇し、2月(1.0%下落)からプラスに転換した。年度末は予算消化のため出稿需要が高まる傾向にあり、企業収益の堅調さが出稿を支えた。
外航貨物輸送は前年同月比13.7%上昇した。海運相場の上昇が価格を押し上げたほか、円相場が2024年3月(平均)では1ドル=149円台で推移し、23年3月(1ドル=133円台)より円安が進んだことも寄与した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1ページ目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。ただし、指数の基準年が異なっており、国内企業物価指数は2020年基準、企業向けサービス価格指数は2015年です。なお、影を付けた部分は、景気後退期を示しています。

photo

上のグラフで見ても明らかな通り、モノの方の企業物価指数(PPI)のトレンドはヘッドラインとなる国内物価指数で見る限り、上昇率としては2023年中に上昇の加速は終了し、2022年12月から指数水準として120前後でほぼほぼ横ばいとなっています。したがって、PPI国内物価指数の前年同月比上昇率は直近の3月で+0.2%にとどまっています。他方、その名の通りのサービスの企業向けサービス物価指数(SPPI)は、指数水準としてまだ上昇を続けているのが見て取れます。企業向けサービス価格指数(SPPI)のヘッドラインの前年同月比上昇率は、今年2023年8月から+2%台まで加速し、本日公表された3月統計では+2.3%に達しています。8か月連続で+2%台の伸びを続けていることになります。+2%前後の上昇率はデフレに慣れきった国民マインドからすれば、かなり高いインフレと映っている可能性があるとは思いますが、日銀の物価目標、これは生鮮食品を除く消費者物価上昇率ですが、その物価目標の+2%近傍であることも確かです。加えて、下のパネルにプロットしたうち、モノの物価である企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価のグラフを見ても理解できるように、企業向けサービス価格指数(SPPI)で見てもインフレ率は高いながら、物価上昇がさらに加速する局面ではないんではないか、と私は考えています。どうして、この段階で日銀が金融引締めを開始したのかは、私はまだ十分理解できていません。繰り返しになりますが、ヘッドラインSPPI上昇率にせよ、国際運輸を除いたコアSPPIにせよ、日銀の物価目標とほぼマッチする+2%程度となっている点は忘れるべきではありません。
もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づいて3月統計のヘッドライン上昇率+2.3%への寄与度で見ると、土木建築サービスや宿泊サービスや機械修理などの諸サービスが+0.98%ともっとも大きな寄与を示しています。人件費の上昇が着実に価格に転嫁されているというのが多くのエコノミストの見方です。結果的に、ヘッドライン上昇率+2.3%の半分近くを占めています。また、引用した記事にもある通り、インバウンドの寄与もあり、宿泊サービスは前年同月比で+28.0%と高い上昇率です。ほかに、ソフトウェア開発やインターネット附随サービスや情報処理・提供サービスといった情報通信が+0.50%、加えて、SPPI上昇率高止まりの背景となっている石油価格の影響が大きい外航貨物輸送や道路旅客輸送や道路貨物輸送などの運輸・郵便が+0.40%のプラス寄与となっています。運輸・郵便については、引用した記事にもある通り、輸入に依存するエネルギー価格に対する円安の影響も見逃せません。リース・レンタルについても+0.22%、景気敏感指標といわれる広告も企業収益に支えられて+0.12%と寄与が大きくなっています。

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