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2024年5月20日 (月)

リクルートのコラム「『熱意』は仕事に必要か?」を読む

先週月曜日5月13日にリクルートによるコラム「『熱意』は仕事に必要か?」を読みました。伝統的に、マイクロな経済学では労働は不効用であり、その不効用を補償(compensate)するために賃金が支払われる、と考えます。ただ、そうはいっても所得を得るために労働は必要なわけですし、ひるがえって、労働に何らかの正の効用を見出す個人も少なくありません。

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まず、リクルートのサイトから、伝統的なマイクロ経済学に即して「仕事とはそもそもつらいものであり、そこに楽しさを見出すことは困難だ」に対する回答の結果を引用すると上の通りです。それなりに左右対称の分布を見せています。伝統的な経済学からすれば、圧倒的に「そう思う」が多いとみなされるのですが、まあ、そうはなっていません。ただ、少なくとも、楽しくはないとしても、もしも、苦痛の程度がはなはだしければ労働を継続することが難しくなりますので、そこそこのレベルでの「つらさ」が経済学でも暗黙のうちに前提されている、と考えるべきです。まあ、ケース・バイ・ケースなんだろうと思います。

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そのケース・バイ・ケースで考えるべきポイントは、いうまでもなく、仕事に対するエンゲージメント=「熱意」です。ということで、上の画像は、エンゲージメントとパフォーマンスの関係認識に基づく就業者のタイプ を考えています。縦軸は、仕事におけるエンゲージメントとパフォーマンスがリンクするかどうか、横軸は、仕事におけるパフォーマンスの高さそのもの、です。私が考えるに、縦軸はエンゲージメントとパフォーマンスのリンクよりも、エンゲージメントの強さ/高さそのものと同じではないか、あるいは、エンゲージメントをダイレクトに取った方がいいのではないか、と受け止めているのですが、まあ、それなりに、コンサルらしい判りやすい画像かという気がします。

2点ほどコメントしておきたいと思います。まず、私自身ですが、典型的な「仙人」だと思います。合理的な経済人らしく、仕事はかなりの程度に苦痛です。しかも、出来の悪いことはなはだしく、周囲に迷惑をかけている気がします。エンゲージメント=熱意は低くて、パフォーマンスは悪いわけです。ただ、第2に、この分析では絶対優位だけが考慮されていて、比較優位の観点が無視されています。おそらく、私は絶対優位の観点からは、エンゲージメントが低くて、パフォーマンスも悪いんでしょうが、比較優位の観点からは、公務員/大学教員に適している、というか、ほかの職業にはより適していないのではないか、という気もします。

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コメント

面白い四象限ですね。私の場合を考えると若い頃は、生意気&無鉄砲で右上でしたが、やがて自分の力を知るようになり左下になっていったような気もします。

投稿: kincyan | 2024年5月20日 (月) 21時30分

>kincyanさん
>
>面白い四象限ですね。私の場合を考えると若い頃は、生意気&無鉄砲で右上でしたが、やがて自分の力を知るようになり左下になっていったような気もします。

は。私はこの図は、特に縦軸はエンゲージメントとパフォーマンスのリンク度合いではなく、エンゲージメントそのものでスケーリングしたほうがいいような気がします。もしそうなら、現在の私は左下だろうと思います。若いころはどうだったか、というには新しい視点ですが、私はたぶん右下だったんではなかろうか、という気がします。
コンサル業務をやっているリクルートらしく、とても興味深い分類だと思います。

投稿: ポケモンおとうさん | 2024年5月20日 (月) 22時16分

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