« ステイケーションで終わったゴールデンウィークを振り返る | トップページ | 学校でスマホを禁止するとどうなるか? »

2024年5月 7日 (火)

「IMF世界経済見通し」アジア・太平洋編を読む

4月18日に「IMF世界経済見通し」を取り上げた後、5月3日には「OECD経済見通し」にも注目したのですが、IMF Blog のサイトで Asia's Growth and Inflation Outlook Improves, but Risks Remain と題して、アジア・太平洋の地域見通しを詳しく解説しています。まず、成長率見通しの総括表を IMF Blog のサイトから引用すると以下の通りです。

photo

見ての通りであり、今年2024年のアジア地域見通しは昨年2023年10月時点から+0.3%ポイント上方修正されて+4.5%と見込まれています。ただし、アジア先進国は▲0.1%ポイント下方修正されていて、情けなくも、我が日本の低成長が要因となっています。また、来年2025年も+4.3%の高成長が続くと予想されています。日本も、今年2024年の成長率をわずかに下方修正されたとはいえ、2024年+0.9%、2025年+1.0%の潜在成長率をやや上回る成長が期待されています。新興国や途上国の中の主要国では、インド、フィリピン、インドネシア、ベトナムなどが+5%、あるいは、それを越える高成長と見込まれています。中国は今年来年とも+4%台の成長となるものの、今年については政策効果により成長率が上方修正されていて、アジア地域の成長率を押し上げる要因となっています。

photo

続いて、IMF Blog のサイトから Sources of growth のグラフを引用すると上の通りです。日本は別としても、アジア新興国、中国、インドについては純輸出がマイナスの寄与となる一方で、消費や投資といった内需が成長をサポートする形が見込まれています。

photo

続いて、IMF Blog のサイトから Uneven inflation outcomes のグラフを引用すると上の通りです。物価目標を超えているのが、ニュージーランド、おーすとらりあ、韓国の3か国で、日本をはじめとして、インド、フィリピン、インドネシア、ベトナムについては物価目標近傍と評価しています。ただ、タイについてはインフレ率は直近でマイナスを記録しており、物価目標を下回っています。シンガポールなど物価目標を持たないながら、+2~3%に収斂すると見込まれています。

このブログでも、"Global disinflation and the prospect of lower central bank interest rates have made a soft landing more likely, hence risks to the near-term outlook are now broadly balanced." 世界的なディスインフレと中央銀行による金利引下げの予想によってソフトランディングの可能性が高まっており、短期的な見通しに対するリスクは概ねバランスが取れている、と評価する一方で、"China's property market correction and geoeconomic fragmentation remain key risks." と、中国の不動産市場の修正と地経学的分断が引き続き主要なリスクである、と分析しています。

|

« ステイケーションで終わったゴールデンウィークを振り返る | トップページ | 学校でスマホを禁止するとどうなるか? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ステイケーションで終わったゴールデンウィークを振り返る | トップページ | 学校でスマホを禁止するとどうなるか? »