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2024年6月11日 (火)

賃上げは消費や所得の上昇をもたらすか?

昨日6月10日、大和総研から「第221回日本経済予測 (改訂版)」と題するリポートが明らかにされており、その中で賃上げと消費拡大について分析されています。まず、大和総研のリポート p.20 実質賃金のイメージ を引用すると以下の通りです。

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すなわち、現在は①の状態にあって、実質賃金が低下しており、その背景には物価上昇と労働分配率の低下があるのですが、徐々に企業の賃金設定行動が変化して②に移行しつつあり、賃上げのモメンタムは強まっていることから、春闘も踏まえて実質賃金は今夏に上昇する見通しが強まっています。そして、③の段階に達すると、実質賃金が+1%増加すると、個人消費は+0.5%程度増加するとの試算結果を示しています。

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他方で、同じく昨日6月10日に、リクルートのワークス研から「春闘で問われる労働組合の真価」と題するコラムが明らかにされています。リクルートワークス研のサイトから 賃上げの構成要素と賃金との連動性 に関するグラフを引用すると上の通りです。

リクルートワークス研のコラムでは、春闘が賃上げに一定の役割を果たしていることは確かとしつつも、グラフに見られるように、「賃上げの妥結水準が1.5~2%に達しないと名目賃金の変動率がプラスにならない」と指摘しています。見れば明らかな通り、賃上げ率を定期昇給部分といわゆるベースアップ(ベア)部分に要素分解すると、後者のベアの部分が重要であることは明らかです。従業員個人ベースでは毎年の定期昇給があって、年功賃金のもとで昇給するとしても、マクロの消費に直結する所得総額、あるいは、企業の給与支払総額という点では、定期昇給だけでは増加せずベースアップが重要、と結論しています。加えて、私なんかが重視するポイントとして、春闘が大企業の正規労働者中心の視点で実施されている点も鋭く指摘しています。すなわち、大企業ではないという意味で中小企業が、また、正規労働者ではないという意味でパートや派遣をはじめとする非正規雇用が、それぞれ、春闘の重点からスッポリと抜け落ちており、しかも、そういった非正規雇用の割合が年々増加している点も忘れるべきではありません。

連合の「第6回回答集計結果」が先週の6月5日のプレスリリースで明らかにされていますが、「定昇相当込み賃上げ計」は加重平均で5.08%ながら、うち300人未満の中小組合は5%に達せず4.45%にとどまっています。非正規雇用に相当するであろう有期・短時間・契約等労働者の賃上げ額は、加重平均で時給わずかに62.70円、月額もたったの10,851円でしかありません。月額1万円余りですから、年間でわずかに12万円ほどです。こういった格差を是正するのも労働組合に期待される重要な役割のひとつであると考えるのは私だけではないと思います。

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