放漫経営による倒産が増加している?
昨日、6月23日、東京商工リサーチから「放漫経営による倒産が急増、経営者のモラル低下も」と題するコラムが明らかにされています。この中で、今年2024年5月の企業倒産はほぼ11年ぶりに1,000件を超えた中で、倒産の要因としては物価高や人手不足などが上げられている一方で、その影に隠れ「放漫経営」が急増している、と指摘しています。
東京商工リサーチでは、販売不振や他社倒産の余波、過小資本など10区分で倒産の主因を分類していて、その10区分に「放漫経営」があるそうです。下のグラフは、東京商工リサーチのサイトから 「放漫経営」年次推移 (1-5月) を引用しています。
東京商工リサーチによれば、放漫経営は3パターンに分かれると指摘し、経験不足などの「事業上の失敗」、異業種への進出失敗などの「事業外の失敗」、融通手形などの「融手操作」だそうです。また、通常は、放漫経営の倒産は好況期に増える、と考えられてきました。すなわち、好調な業績を基に事業拡大を無計画で進めたり、余剰資金を投資で増やそうとして失敗したり、といったものです。しかし、コロナ期にゼロゼロ融資をはじめとする手厚い支援でコロナ・ショックをしのぎながら、支援縮小とともに放漫経営が顕在化し始めた、と東京商工リサーチでは指摘しています。明記はしていませんが、ゾンビ企業批判の一種ではないかと私は受け止めています。ゾンビ企業批判は金融緩和に反対する根拠のひとつですし、日銀が金融引締めを開始したタイミングでこういったゾンビ企業批判が注目されるのは当然です。
私は資本ストックの継続的な活用や労働力のスキルの維持に主眼をおいて、景気後退期の清算主義的な「企業淘汰論」には反対してきました。金融政策が引締めに転じ、防衛費=軍事費の大幅増加のための財源論で財政債権の強化も始まりかねない現時点で、財政と金融の緊縮や引締め政策に対する考え方をキチンとしておきたいと思います。
| 固定リンク
コメント