« 1-3月期GDP統計速報2次QEは1次QEから小幅の改定か? | トップページ | 米国雇用統計に見る米国労働市場の過熱感払拭には時間がかかるか? »

2024年6月 7日 (金)

2か月連続で前月から上昇した景気動向指数をどう見るか?

本日、内閣府から4月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数は前月から▲0.1ポイント下降の111.6を示し、CI一致指数は+1.0ポイント上昇の115.2を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから報道を引用すると以下の通りです。

景気動向一致指数、4月は前月比1.0ポイント上昇 2カ月連続プラス
内閣府が7日公表した4月の景気動向一致指数(速報値、2020年=100)は前月比1.0ポイント上昇の115.2と2カ月連続でプラスとなった。卸売販売額や耐久消費財出荷指数が押し上げた。
電気製品など機械器具、エネルギーなど鉱物・金属材料の輸入額が膨らんだ。1-2月に一部メーカーが生産停止していた自動車の出荷増も寄与した。鉱工業生産は航空機部品の減少などで指数を下押しした。
一方、先行指数は前月比0.1ポイント低下の111.6となり3カ月ぶりにマイナスだった。新規求人数や消費者態度指数が下押しした。物価の先高観が強まったことなどが影響した。
一致指数から機械的に決める基調判断は「下方への局面変化を示している」とし、前月から据え置いた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

photo

4月統計のCI一致指数については、2か月連続の上昇となりました。さらに、3か月後方移動平均の前月差でも+0.77ポイントの上昇となり、4か月ぶりの上昇でした。ただし、7か月後方移動平均の前月差では▲0.06ポイント下降と引き続きマイナスを記録しています。引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では基調判断を前月2月統計に続いて「下方への局面変化」で据え置いています。もっとも、私の直感ながら、自動車の品質不正問題による生産や出荷の停止といった経済外要因の影響が4月統計では剥落しましたので、基調判断が2か月連続で「下方への局面変化」であっても、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そうすぐには日本経済が景気後退局面に入ることはないのではないか、と考えています。ただし、ダイハツに続いてトヨタやスズキなどでも品質不正事案が生じていますので、先行きの影響については測りかねています。もちろん、景気回復・拡大局面の後半に入っている点についても忘れるべきではありません。
CI一致指数を構成する系列を前月差に対する寄与度に従って詳しく見ると、景気動向指数に大きなインパクトを有する生産指数(鉱工業)が、例のボーイング社製の小型機の減産の影響が出て、わずかにマイナス寄与したものの、商業販売額(卸売業)(前年同月比)が+0.69ポイントの大きな寄与を示しています。ほかに、耐久消費財出荷指数が+0.20ポイント、商業販売額(小売業)(前年同月比)が+0.17ポイント、投資財出荷指数(除輸送機械)が+0.16ポイント、などでプラス寄与を示しています。ただし、他方で、有効求人倍率(除学卒)が▲0.28ポイント、鉱工業用生産財出荷指数が▲0.10ポイント、などがマイナスの寄与を示しています。

|

« 1-3月期GDP統計速報2次QEは1次QEから小幅の改定か? | トップページ | 米国雇用統計に見る米国労働市場の過熱感払拭には時間がかかるか? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 1-3月期GDP統計速報2次QEは1次QEから小幅の改定か? | トップページ | 米国雇用統計に見る米国労働市場の過熱感払拭には時間がかかるか? »