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2024年8月 7日 (水)

自動車の認証不正を受けて6月の景気動向指数は大きく悪化

本日、内閣府から6月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数は前月から▲2.6ポイント下降の108.6を示し、CI一致指数も▲3.4ポイント下降の113.7を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから報道を引用すると以下の通りです。

景気一致指数6月3.4ポイント低下、生産減で4カ月ぶりマイナス
内閣府が7日発表した6月の景気動向指数速報(2020年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比3.4ポイント低下の113.7と4カ月ぶりにマイナスとなった。基調判断は「下げ止まりを示している」との前月表現を据え置いた。
<マイナス幅コロナ禍2020年5月以来>
一致指数のマイナス幅はコロナ禍の2020年5月(7.3ポイント低下)以来の大きさ。指数構成する鉱工業生産や鉱工業生産出荷、卸売販売額などの指数が低下した。自動車認証不正による減産や半導体製造装置の輸出減など多くの業種での減産が響いた。
景気の先行きを示す先行指数も前月比2.6ポイント低下の108.6と2カ月ぶりに悪化した。マイナス幅は2020年4月(7.5ポイント低下)以来の大きさ。鉱工業用生産財在庫率や最終需要財在庫率、新設住宅着工床面積などが下押しした。自動車および関連部品の減産で自動車用ライトなどの在庫率が悪化した。

いつもながら、コンパクトかつ包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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6月統計のCI一致指数は4か月ぶりのの下降となりました。加えて、3か月後方移動平均の前月差も▲0.17ポイントの下降へと転じ、7か月後方移動平均の前月差も▲0.16ポイント下降しています。3か月後方移動平均は3か月ぶり、7か月後方移動平均は2か月振りの下降となりました。統計作成官庁である内閣府では基調判断を、先月5月統計で「下方への局面変化」から「下げ止まり」に上方改定していますが、今月も「下げ止まり」で据え置いています。なお、細かい点ながら、上方や下方への局面変化は7か月後方移動平均という長めのラグを考慮した判断基準なのですが、改善からの足踏みや悪化からの下げ止まりは3か月後方移動平均で判断されます。いずれにせよ、私は従来から、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そうすぐには日本経済が景気後退局面に入ることはないと考えていて、やや楽観的な見方かもしれませんが、最近の株式市場の動きは、逆に、米国が景気後退に陥る可能性が大きくなったので、日本株も落ち気味となっている、ということができようかと思います。加えて、景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありませんし、急速に進んだ円高の経済へ影響も考慮する必要があるのは当然です。
CI一致指数を構成する系列を前月差に対する寄与度に従って詳しく見ると、投資財出荷指数(除輸送機械)が▲1.16ポイント、生産指数(鉱工業)が▲0.66ポイント、鉱工業用生産財出荷指数が▲0.63ポイント、耐久消費財出荷指数も▲0.55ポイント、といった鉱工業生産・出荷に関係する系列が大きなマイナスの寄与であったほか、商業販売額(卸売業)(前年同月比)も▲0.56ポイントの寄与を示しています。引用した記事にもある通り、自動車産業の認証不正による減産が大きく影響していると考えられます。他方で、商業販売額(小売業)(前年同月比)は+0.12ポイントとわずかながらプラスの寄与を示しています。

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