7月の企業物価指数(PPI)上昇率は+3%に達する
本日、日銀から7月の企業物価 (PPI) が公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+3.0%の上昇となり、先月6月統計からさらに上昇幅が拡大しました。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
国内企業物価、7月は前年比3.0%上昇に伸び加速 非鉄など寄与
日銀が13日に発表した7月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は123.1となり、前年比3.0%上昇した。指数は比較可能な1980年以降で最高水準。非鉄金属などが押し上げ要因となった。伸び率は6月の2.9%から拡大し、2023年8月以来の大きな伸びが続いた。前月比では0.3%上昇だった。
ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前年比プラス3.0%だった。
前年比の上昇は41カ月連続。最も押し上げに寄与したのは「非鉄金属」で、前年比18.5%上昇。過去の銅・アルミニウム市況上昇の影響が反映された。
「電力・都市ガス・水道」は政府の電気・ガス価格激変緩和対策事業による値引きが終了した影響、飲食用品は原材料や包装資材、エネルギーなど諸コストの上昇を転嫁する動きで上昇した。
全515品目中、前年比で上昇したのは390品目、下落は105品目。日銀の担当者によると、今月は電気・ガス価格激変緩和対策事業終了などの影響を受けた電力・都市ガス、諸コストの上昇を転嫁する動きや天候不順などの影響が見られた農林水産物、食料品を中心に価格上昇がみられたという。
いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率をプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。
まず、引用した記事にもあるロイターによる予想でも、また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、いずれも、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内企業物価の前年同月比上昇率は+3.0%と見込まれていましたのでジャストミートし、サプライズはありませんでした。国内物価の上昇幅が拡大した要因は、引用した記事にもある通り、政府による電気・ガスの補助金の影響です。6月検針分から補助金が半減し、7月検針分ではゼロとなっています。ただし、足元の8~10月には復活の予定です。また、輸入物価が2月から再び上昇に転じ、本日公表の7月統計では+10.8%の上昇と2ケタに達しています。引用した記事にもあるように、契約通貨ベースでの上昇を超えて円建て価格が上昇しています。ただし、原油価格の上昇も考慮すべきです。すなわち、企業物価指数のうちの輸入物価の原油価格の前年同月比を見ると、直近の7月統計では契約通貨建てで+9.2%、円建てで+22.2%の上昇と大きく値上がりしています。この差は円安に基づくということです。我が国では、金融政策を通じた需給関係などよりも、原油価格のパススルーが極端に大きいので、国内物価にも無視し得ない影響を及ぼしている可能性があります。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率・下落率で少し詳しく見ると、電力・都市ガス・水道が7月には+6.7%と前月の横ばい±0%から大きく上昇に転じています。食料品の原料として重要な農林水産物も6月の+1.6%から7月は+4.0%と上昇幅を大きく拡大しています。したがって、飲食料品の上昇率も+2.6%と高止まりしており、ほかに、非鉄金属+18.5%が2ケタ上昇を示しています。ただし、石油・石炭製品は6月+4.6%から7月には+1.1%に上昇率を縮小しています。原油価格が大きな上昇を示している一方で、石油・石炭製品の価格の落ち着きは謎です。
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