科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2024」に見る日本の研究力やいかに?
とても旧聞に属するトピックながら、8月9日に科学技術・学術政策研究所(NISTEP)から「科学技術指標 2024」が明らかにされています。もちろん、pdfによる全文リポートもアップロードされています。以下の新聞記事で私は見かけています。
まあ、要するに、朝日新聞の報道で見かけて取り上げているわけです。それはともかく、報告書は5章構成となっていて、以下の通りです。
- 第1章
- 研究開発費
- 第2章
- 高等教育と科学技術人材
- 第3章
- 高等教育と科学技術人材
- 第4章
- 研究開発のアウトプット
- 第5章
- 科学技術とイノベーション
まず、第4章の研究開発のアウトプットに着目して、リポートp.139から【図表4-1-6】 国・地域別論文数、Top10%補正論文数、Top1%補正論文数:上位25 か国・地域 を引用すると上の通りです。朝日新聞の記事のタイトルにある「13位」というのは、上に並べた9枚のテーブルのうち、オレンジ色のヘッダになっている真ん中の段の一番右のTop10%補正論文数の順位を取っています。青いヘッダの上の段の一番左のテーブルでは、すべての論文数をカウントしていて、そこでは日本は2位なのですが、Top10%では13位に落ち、さらに、緑色のヘッダの下の段の一番右のTop1%でも12位を占めるに過ぎません。要するに、論文はいっぱい書かれているのですが、トップクラスの論文は少ないわけです。私自身もアカデミアとして論文を書いていますし、まあ、何と申しましょうかで「粗製乱造」に加担しているおそれは十分あります。
その大きな原因のひとつとして、私は研究費の不足があると考えています。そこで、リポートp.17から【図表1-1-1】 主要国における研究開発費総額の推移 を引用すると上の通りです。タイトルの研究開発費総額というのは、企業における研究開発ヒト大学を合計しているからです。本調査による研究費の学徒OECD推計学が乖離しているのは別問題として、日本では研究開発費がほぼ横ばいで、少なくとも米国・中国2二強に加えてEU-27の欧州と比べても、ほとんど増えていない事実が見て取れます。韓国にも大いに追い上げられています。
こういった日本の研究力に関して、明らかに研究開発費の不足が研究力の向上を妨げていると考えるべきなのですが、果たして、研究開発の先にあるイノベーション、そして、さらにその先にある生産や経済成長について、このままでいいのかという議論はどこまでなされているのでしょうか?
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