上昇を示す7月の景気動向指数をどう見るか?
本日、内閣府から7月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数は前月から+0.4ポイント上昇の109.5を示し、CI一致指数も+3.0ポイント上昇の117.1を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから報道を引用すると以下の通りです。
7月の景気動向指数、2カ月ぶり上昇 基調判断は維持
内閣府が6日発表した7月の景気動向指数(CI、2020年=100)は足元の経済状況を示す一致指数が前月比で3.0ポイント上昇の117.1だった。上昇は2カ月ぶり。基調判断は「下げ止まりを示している」と据え置いた。
一致指数を構成する10項目のうち、耐久消費財出荷指数や投資財出荷指数などが上昇した。耐久消費財ではエアコンが、投資財では半導体製造装置やレーダー装置の出荷が目立った。
いつもながら、コンパクトかつ包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。
7月統計のCI一致指数は2か月ぶりの上昇となりました。加えて、3か月後方移動平均の前月差も2か月ぶりに+0.56ポイント上昇し、7か月後方移動平均の前月差も2か月ぶりに+0.56ポイント上昇しています。3か月後方移動平均は3か月ぶり、7か月後方移動平均の2か月振りに+0.18の上昇となりました。統計作成官庁である内閣府では基調判断は、今月も「下げ止まり」で先月から据え置いています。なお、細かい点ながら、上方や下方への局面変化は7か月後方移動平均という長めのラグを考慮した判断基準なのですが、改善からの足踏みや悪化からの下げ止まりは3か月後方移動平均で判断されます。いずれにせよ、私は従来から、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そうすぐには日本経済が景気後退局面に入ることはないと考えていて、やや楽観的な見方かもしれませんが、最近の株式市場の動きは、逆に、米国が景気後退に陥る可能性が大きくなったので、日本株も落ち気味となっている、ということができようかと思います。加えて、景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありませんし、多くのエコノミストが待ち望んで、日銀の金融引締めから急速に進んだ円高の経済へ影響も考慮する必要があるのは当然です。
CI一致指数を構成する系列を前月差に対する寄与度に従って詳しく見ると、投資財出荷指数(除輸送機械)が+0.84ポイント、商業販売額(卸売業)(前年同月比)が+0.80ポイント、鉱工業用生産財出荷指数が+0.66ポイント、生産指数(鉱工業)が+0.50ポイント、といった鉱工業生産・出荷に関係する系列が大きなプラスの寄与を示しています。
昨日取り上げた毎月勤労統計に見られる賃金や、私はそれほど重視していませんが、本日公表された家計調査など、今春闘の成果に従って賃金や消費に関して少しずつながら改善が見られるようになっています。米国経済だけではなく、内需についても景気後退の回避に貢献している点は新たに付け加わった注目点であろうと思います。
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