帝国データバンク調査による「米作農業の倒産・休廃業解散動向」やいかに?
コメがスーパーなどの店頭から姿を消して価格が高騰しているのは広く認識されている通りですが、他方で、コメ農家の倒産・廃業も急増しているようです。というのも、9月5日、帝国データバンクから「米作農業の倒産・休廃業解散動向」の調査結果が明らかにされていて、今年2024年に入って1-8月で34件の休廃業と解散が発生していることが示されています。帝国データバンクのリポートから 「米作農業」倒産・休廃業解散件数 推移 を引用すると以下の通りです。
同じ9月5日付けのNHKの「首都圏ナビ」のサイトでも報じられていますが、イネの育成はそれほど問題ないにもかかわらず、品薄が続いて入荷が不安定な状況が続いているようです。農水省の民間在庫のデータを見ても、昨年末2023年12月には298万トンあった在庫が、直近でデータが利用できる今年2024年7月には82万トンまで激減しています。
それにもかかわらず、帝国データバンクの調査によれば、2024年1-8月には、米作農業(コメ農家)の倒産(負債1000万円以上、法的整理)が6件、休廃業・解散(廃業)が28件発生し、計34件が生産現場から消滅した、とリポートされています。この要因として、帝国データバンクのリポートでは、「生産コストの上昇と深刻な後継者・就農者不足」を上げています。すなわち、生産資材、肥料、ガソリン・軽油などの値上がりが激しい一方で、価格転嫁が難しいことからコメづくりを断念したり、あるいは、就農者の高齢化や後継者不足もあって、経済学的にいえば、供給が需要に追いつかない状況となっています。一部の報道に見られたように、インバウンド観光客の消費増は私は怪しいと見ています。
私は授業でサラリと日本の農業について取り上げないでもないのですが、それほど専門性があるとは思っていません。でも、OECD の Post-Uruguay Round Tariff Regimes の p.53 Figure 1. Post-Uruguary Round bound tariff rates, by main sectors なんぞを引用しつつ、日本の農業が巷間いわれているほど保護されているわけではない、という点はしっかりと教えているつもりです。上のグラフの通りです。
| 固定リンク
« 東京商工リサーチの調査では早期・希望退職が大きく増加 | トップページ | 商品市況と円高の影響で上昇幅が縮小した8月の企業物価指数(PPI)と自動車の認証不正を底に企業マインドの回復続く法人企業景気予測調査 »
コメント