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2024年10月18日 (金)

5か月ぶりに上昇率が縮小した9月の消費者物価指数(CPI)をどう見るか?

本日、総務省統計局から9月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の前年同月比で見て、前月の+2.8%から縮小し+2.4%を記録しています。久しぶりの上昇幅縮小です。日銀の物価目標である+2%以上の上昇は2022年4月から30か月、すなわち、2年半の間続いています。ヘッドライン上昇率も+2.5%に達しており、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率も+2.1%と高止まりしています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

9月の消費者物価、2.4%上昇 5カ月ぶり伸び率縮小
総務省が18日発表した9月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が108.2となり、前年同月と比べて2.4%上昇した。5カ月ぶりに伸び率が縮小した。政府による電気・ガス代補助の再開によって、エネルギーの上昇幅が縮んだ。
QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は2.3%の上昇だった。
エネルギーは9月に6.0%プラスで8月の12.0%から伸びが縮んだ。政府は電気・ガス代の負担を軽くする補助金を23年1月使用分から実施していたが、今年5月使用分まででいったん止めていた。その後「酷暑乗り切り緊急支援」として24年8~10月使用分(9~11月検針分)の補助を再開し、その効果が9月に表れた。
生鮮食品を除く食料は3.1%上がった。前月の2.9%プラスから上昇幅が拡大した。これまで円安進行に伴う輸入コストの増加で食料価格が高騰していたが、23年秋ごろをピークに価格転嫁が一巡し低下傾向が続いていた。
食料の価格上昇はコメの伸びがけん引している。米類は猛暑による出回り量の減少や外食需要の高まり、さらには新米の価格高騰により44.7%の上昇と49年ぶりの上昇幅だった。原料のカカオ豆の価格上昇でチョコレートは9.8%、肉類は肥料のコスト上昇で輸入先での価格が上がり、4.1%の上昇だった。
総務省は食料の上昇について「原材料や輸送コスト、包装代の上昇の影響を受けたとみられる」と説明する。外食は2.7%プラスだった。
宿泊料は6.8%プラスで8月の9.5%の伸びから縮小した。8月は夏休みもあり価格がピークとなるが、9月は上昇幅が縮小した。

何といっても、現在もっとも注目されている経済指標のひとつですので、やたらと長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+2.3%ということでしたので、実績の+2.4%は大きなサプライズはありませんでした。品目別に消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率とヘッドライン上昇率に対する寄与度を少し詳しく見ると、まず、生鮮食品を除く食料の上昇が継続しています。すなわち、先月8月統計では前年同月比+2.9%、寄与度+0.69%であったのが、今月9月統計ではそれぞれ+3.1%、+0.73%と引き続き高い伸びと寄与度を示しています。次に、エネルギー価格については、4月統計から前年同月比で上昇に転じ、本日公表の9月統計では先月からやや上昇率は縮小したものの、+6.0%の高い上昇率となっていて、寄与度も+0.44%を示しています。特に、インフレを大きく押し上げているのは電気代であり、寄与度は+0.46%に達しています。引用した記事で指摘されている通り、政府の「酷暑乗り切り緊急支援」による押し下げ効果が始まって、先月から上昇率はこれでも縮小しています。なお、統計局のプレスリリースによれば、この緊急支援の寄与度は▲0.55%、うち電気代▲0.46、都市ガス代▲0.09、とそれぞれ試算されています。
私が注目している食料について細かい内訳をヘッドライン上昇率に対する寄与度で見ると、コアCPI上昇率の外数ながら、生鮮食品が野菜・果物・魚介を合わせて+0.33%あり、うち、生鮮野菜が+0.23%、生鮮果物が+0.10%の寄与をそれぞれ示しています。繰り返しになりますが、生鮮食品を除く食料の寄与度も+0.69%あります。生鮮食品を除くコアCPIのカテゴリーの中でヘッドライン上昇率に対する寄与度を見ると、コシヒカリを除くうるち米などの穀類が+0.24%、うち、うるち米が+0.16%となっています。スーパーなどからコメが姿を消したり、大きく値上げされているのは日常生活でも目にしますし、広く報道されているところかと思います。穀類のほか、焼肉などの外食も+0.13%、豚肉などのの肉類が+0.11%、チョコレートなどの菓子類が+0.09%、おにぎりなどの調理食品が+0.08%などなどとなっています。コアCPIの外数ながら、トマトなどの生鮮野菜が+0.14%、梨などの生鮮果物も+0.10%の寄与となっています。また、食料からコア財に目を転じると、引用した記事にもあるように、猛暑の影響でルームエアコンなどの家庭用耐久財が+0.09%の寄与、うち、ルームエアコンだけでも+0.07%の寄与を示しています。サービスでは、外国パック旅行費の+0.15%を含めて教養娯楽サービスの寄与度が+0.27%、などといった寄与を示しています。

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