2か月ぶりに下降した8月の景気動向指数をどう見るか?
本日、内閣府から8月の景気動向指数が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、CI先行指数は前月から▲2.6ポイント下降の106.7を示し、CI一致指数も▲3.7ポイント下降の113.5を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから報道を引用すると以下の通りです。
景気一致指数8月は2カ月ぶり低下、台風による自動車生産減などで
内閣府が7日公表した景気動向指数速報(2020年=100)によると、一致指数は前月比3.7ポイント低下の113.5で、2カ月ぶりに低下した。鉱工業用生産財出荷指数や商業販売額などが指数を下押しした。台風による自動車生産減などが響いたという。
一致指数から一定の方式で決まる基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置いた。
品目別では、台風の影響で自動車生産が減少したことが、鉱工業生産指数や耐久消費財出荷指数などの指数を押し下げた。商業販売額(卸売り)は、前月に計測器などの販売が急増した反動が出た。
先行指数も2.6ポイント低下の106.7と、2カ月ぶりマイナスだった。鉱工業生産在庫率や東証株価指数、中小企業売り上げ見通しなどが指数を下押しした。
いつもながら、コンパクトかつ包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

8月統計のCI一致指数は2か月ぶりの下降となりました。加えて、3か月後方移動平均の前月差も2か月ぶりに▲1.34ポイント下降しましたが、7か月後方移動平均の前月差はまだ+0.07ポイント上昇しています。統計作成官庁である内閣府では基調判断は、今月も「下げ止まり」で先月から据え置いています。なお、細かい点ながら、上方や下方への局面変化は7か月後方移動平均という長めのラグを考慮した判断基準なのですが、改善からの足踏みや悪化からの下げ止まりは3か月後方移動平均で判断されます。いずれにせよ、私は従来から、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そうすぐには日本経済が景気後退局面に入ることはないと考えていて、やや楽観的な見方かもしれません。ただし、日本経済はすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありませんし、多くのエコノミストが待ち望んで、日銀の金融引締めから急速に進んだ円高、あるいは、金融引締めそのものの経済へ影響も考慮する必要があるのは当然です。
CI一致指数を構成する系列を前月差に対する寄与度に従って詳しく見ると、鉱工業用生産財出荷指数が▲0.85ポイント、商業販売額(卸売業)(前年同月比)が▲0.76ポイント、投資財出荷指数(除輸送機械)が▲0.61ポイント、生産指数(鉱工業)が▲0.59ポイント、耐久消費財出荷指数が▲0.51といった鉱工業生産・出荷に関係する系列が大きなマイナスの寄与を示しています。ただ、それほど大きな寄与度ではありませんが、有効求人倍率(除学卒)や労働投入量指数(調査産業計)といった雇用指標もマイナス寄与していたりします。プラス寄与を示しているのは、わずかに、商業販売(小売業)(前年同月比)くらいのものだったりします。
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