女性役員比率が高い企業は業績いいのか?
先週金曜日の10月18日に、大和総研から「女性役員比率の現状と今後の課題」と題するリポートが明らかにされています。日本の男女格差は世界の先進国の中で極めて大きく、というか、もはや先進国とはいえないレベルでとどまっており、企業レベルでも東京証券取引所はプライム市場上場企業に対して、以下の3点の数値目標を設定しています。
- 2025年を目途に、女性役員を1名以上選任するよう努める。
- 2030年までに、女性役員の比率を30%以上とすることを目指す。
- 当取引所は、上記の目標を達成するための行動計画の策定を推奨する。
第1-2項目では、「務める」と「目指す」で終わっていて、ほぼほぼ強制力ない内容となっています。でも、プライム上場企業にはそれなりのレピュテーション・リスクもあり、女性役員登用に向けた動きが活発化されることが予想されます。役員としては、取締役、監査役、執行役があるわけですが、リポートでは女性比率を算出しており取締役と監査役がともに19%、執行役12%となっています。ただ、取締役も監査役もともに社外役員が圧倒的で、社内役員は少なくなっています。例えば、社内取締役4%に対して社外取締役37%という結果です。ただし、東証が設定した大賞であるプライム上場企業ではなく、大和総研ではTOPIX500構成企業を対象に集計しています。いずれにせよ、興味深い内容ですので、リポートからいくつかグラフを引用して簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、上のグラフはリポートから 図表5 業種ごとの女性管理職比率と女性役員比率 を引用しています。ごく自然な理解として、女性役員比率が高ければ女性会離職比率も高いという正の相関関係が見られます。これは当然です。何の不思議もありません。社内で管理職にせよ、役員にせよ、女性が活躍している、ということを表しているわけでしょう。
続いて、上のグラフはリポートから 図表8 女性役員比率のレンジごとの各種指標 を引用しています。見れば明らかですが、ROE(自己資本利益率)、PBR(株価純資産倍率)、売上高営業利益率、配当利回りのいずれの指標で見ても、女性役員比率が高いほど株式指標や業績指標が好成績を収めています。完全な解釈はこのリポートだけからはムリがあるとは思いますが、リポートでは「女性役員比率の向上に伴い、多様な価値観や視点に基づく経営が行われたり、より女性が働きやすい環境が実現されたりすることで、企業価値が向上」する可能性を指摘しています。この結論に正面切って反対するエコノミストはとても少数派だろうと私は想像しています。何度も繰り返していますが、日本経済再浮上のカギのひとつは、女性が活躍しやすい企業環境を作ることである、と私は考えています。
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コメント
最近の若い女性は、積極的に仕事を求めますね。給料の多寡ではなく、質を求めているようです。我が家でも娘は2回転職しています。給料は上がったかどうかは知りませんが、やりがいはあるようです。
投稿: kincyan | 2024年10月25日 (金) 10時12分
>kincyanさん
>
>最近の若い女性は、積極的に仕事を求めますね。給料の多寡ではなく、質を求めているようです。我が家でも娘は2回転職しています。給料は上がったかどうかは知りませんが、やりがいはあるようです。
はい、その通りで、女性活躍の場を広げるのは、今や、日本経済浮上の最後の決め手かもしれない、くらいに私は考えています。
投稿: ポケモンおとうさん | 2024年10月25日 (金) 10時40分